呼吸と姿勢
- 2015/10/11
- 08:00
「私は体調もイマイチで、精神状態も不安定なため、『呼吸が浅い』方だと思います。
呼吸を深くする姿勢・ポーズがあったら教えてください。
深いつもりで浅いのが呼吸」
「身体は呼吸の器だから、姿勢=器の形次第で、呼吸の深さが変わってくるのは当然だよね」
「システマと言うロシア武術でも、呼吸を重視している。
システマのテキストを読むと、呼吸と姿勢の関係についても、色々と言及されている。
たとえば、立位の時に猫背になると、当然呼吸は浅くなる。
だからと言って、無理に息を吸い過ぎると、姿勢が反りかえってきて=反り腰 もやはり苦しい。
呼吸も自由に変えられなくなる。
一番楽に深く自由な呼吸が出来るポジションを探っていくと、猫背でも、反り腰でもない、適度な立ち姿勢が分かるという」
「それって、胴体力メソッドで言う『股関節の捉え』が出来ている立ち方=内踝の真上に股関節が乗っている ってことじゃないの?
呼吸からアプローチしても、同じ結果にたどりつくってことか」
「そのとおり。要は常に股関節の捉えが出来ている人は、いつでも深くて最適な呼吸が出来るということである。
しかし、静止した姿勢で股関節の捉えが出来ていても、動き出した途端に捉えが無くなるのが凡人。
せっかく深まった呼吸も、安定した精神状態も、普段の自分に戻ってしまう」
「息は『自分の心』って書くもんね。
だから歩きながらの呼吸も大事。人は歩いて生活しているもん」
古久澤先生のメルマガとブログには、日常生活の中で呼吸を深めるためのヒントが満載!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「心身統一合氣道の藤平光一先生は、若き日に太平洋戦争で中国へ従軍した。
藤平先生は、出征前から家で毎日三時間の呼吸法をやっていたと言う。
戦地でも『動じない心』をキープするために、呼吸法を続けるつもりだったが、戦場では一日中行進しているので、座ってじっくり呼吸法をやっている時間が無かった。
仕方が無いので、行進しながら呼吸法を行う工夫をしたという」
「どんな工夫をしたの?」
「歩きながら息を静かに吐ききり、身体の中が静まるまで息を止めて何歩か歩く。
続いて歩きながら息を吸いきり、身体の中が静まるまで息を止めて何歩か歩く。
この呼吸法を繰り返しながら、心は常に臍下(せいか)の一点=下腹部の一点 に鎮める。
臍下の一点とは、股関節の捉えが出来ているのと同じ状態だと思われる」
「その効果は?」
「戦場の修羅場でも、冷静な判断が出来るようになったという。
終戦後、藤平先生は自分が無傷で帰ってきただけでなく、隊長として率いていた部下たちを一人も死なせずに帰国させたという。
呼吸法を真に会得した人は、自他の運命さえ左右出来るのではないか?と言う可能性を示すエピソード」
「歩きながらも呼吸を意識すると、藤平先生には遠く及ばなくても、運命改善法になるかもね」
「姿勢の話に戻ると、猫背は確かに呼吸を浅くするが、更に背中を丸めて行って肩を落とすと、かえって呼吸が深くなる」
「陰極まって陽になる ってとこか。
だって全力疾走して息が切れた時とかは、みんなそういう姿勢になるもんね。
少しでも酸素を多く取り込むために、本能的にそうなっちゃう」
「ただしこの姿勢は、本当に隙だらけの状態なので、武道やスポーツでは戒められている。
人が精神的に落ち込んだ時も、同じ姿勢になる。いわゆる『うなだれた』姿勢」
「リカバリーするために、呼吸を深めようと、無意識にそういう姿勢になっちゃうんだね。身体と潜在意識ってスゴイ=何でも知ってる。
どんな姿勢も必然性があってやってるってことか」
「『あしたのジョー』でも、試合前のジョーは、よく丹下ジムの壁際に膝を抱えてうずくまっていた。戦いに備えてエネルギーを蓄えるため。
試合後の傷をいやす時も同じ。
あの姿勢は呼吸を深め、エネルギーを充填してくれる」
「リアリストのちばてつや先生は、自分の身体感覚に忠実に描いていたってことだね」
「『あしたのジョー』のラストシーンは、世界タイトルマッチ後、真っ白に燃え尽きたジョーの描写で終わる。
しかし梶原一騎の原作では、ジョーは死んでいない。
後日、ヒロイン白木葉子邸で膝を抱えて座っているジョーの姿を、葉子が見守っている風景がラストシーンだった。
試合の後遺症で、ジョーが廃人になったかどうかは明かされないまま」
「『こんな結末じゃ締まらない』って納得できなかったちば先生が、ラストを変えたんだよね。
確かに真っ白な灰になった方が絵になるよ」
「けれど、梶原案でジョーが膝を抱えて座っている姿勢は、試合に向かってエネルギーを貯めているのと同じ姿勢。
だからジョーはボクシングを続けられない身体になったかも知れないけれど、いつかまた別の道で立ち上がるのではないか?という含みのあるラストなのかもしれない。
そう考えれば、評判が悪い梶原案にも、それなりの意義があったのでは?と指摘する人もいる」
「う~ん、姿勢と呼吸に着目すれば、色んな解釈が出来るってことだね」
「人間は耐え難いほどのストレスに直面すると、筋肉が固まって、呼吸が浅くなる場合もある。
呼吸が浅くなると、『感じる力』が弱まるからである」
「だって、あまりにもつらい状況をリアルに感じていたら、本当に死にたくなっちゃうかも知れないよ。
命を守るために、身体がわざわざ固まってくれているんだよね」
「今年映画化された、『海街diary』というマンガにも、似たようなエピソードが出てくる。
ある年の夏、鎌倉に住む三姉妹は、むかし自分たちを捨てて家を出て行った父親の葬儀で、腹違いの妹・すずに会う」
「すずはまだ中学生だけど、まるで大人のようにしっかりしているんだよね。
お父さんの葬儀でも、涙ひとつこぼさず、テキパキと振る舞っちゃう。
そんなすずの様子を見た三姉妹の長女は、『何て表情の無い子なんだろう』って感じるんだよね」
「周囲の大人たちは誰も知らなかったけれど、すずは癌で日々弱っていく父親の看病を、一人でやっていたのだった。
強力なストレスが身体の中に入ってくると、それを感じないように、表情筋が固まってしまう。
顔の筋肉が固まると、全身の筋肉も緊張し、感じる力が低下して行く」
「うつ病の人が典型だよね。表情が無くなっちゃうもん。
すずも、それに近い状態にあった訳か」
「葬儀を終えて、鎌倉に帰る三姉妹を見送るすずに、長女が
『すずちゃんがお父さんを看病してくれたんでしょう?本当にありがとう』
とお礼を言った。
自分の孤独と悲しみを、初めて分かって貰えたすずは、激しく泣いた。
その慟哭(どうこく)は、降るようなセミの声でも、かき消すことが出来ないほど激しいものだった」
「やがてすずは、三姉妹の薦めで鎌倉に出てきて、一緒に暮らし始める。
次第に感情を表現するようになったすずは、元氣な少女に戻っていくんだよね。
お葬式の後、長女のお蔭で、激しく泣けたからだよね。
あれで呼吸が変わったって言うこと。筋肉の硬直も解けたんだろうし」
「そのとおり。泣くことも立派な呼吸法。
以前、古久澤先生からお聞きした実話であるが、両親を亡くした幼い三兄弟が居た。
弟と妹は大泣きしたけれど、お兄ちゃんは泣かなかった」
「これからは自分がしっかりして、弟・妹を守らなきゃいけない って決意したから、泣くのをこらえたんだよね。
そしたら、大人になってからお兄ちゃんだけが、心の病氣になっちゃった」
「泣かなかったから、巨大な悲しみが筋肉に凍結保存されてしまった。
弟・妹と同じように泣いていれば、涙と一緒に悲しみを捨てられた筈なのに。
長い時間をかけて、そのトラウマが病氣の元に育ったということ」
「人間泣くべき時は、泣いた方がいいもんね。
大人でも、泣かないことを自慢するのは、バカ者だよ。感じる力が鈍いってことだから」
「鈍感な人でも、筋肉が緩んで来ると、自然に感情が甦ってくる。
ブリージングの年輩の会員さんにも、
『最近、キレイな夕焼けを見ると、我知らず涙がこぼれることがある。
いい年して恥ずかしい』
と照れる人がいる」
「照れることなんか、全然ないよね。
キレイなものを見て泣けるってことは、身体が柔らかくなって、心もピュアになってきた証拠だよ」
「自力で筋肉が緩んだ結果、封印された感情が出てくることがあっても、それは本人が耐えられる分しか出てこないので安全。
スワイショウをやっていて、昔の嫌な想い出がフラッシュバックするのも同じこと。
催眠やセラピーなどで、第三者が外部から介入してトラウマを思い出させると、耐えられないほどのパニックになって危険な場合がある」
「身体の深部に潜んでいた老廃物が、暴れ出すようなもんだよね。
トラウマも老廃物も、必然性があって隠れているんだから、他人が内部事情を無視して突っつかない方がいいってことだよ」
「古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』の58P~61Pに紹介されている『超簡単なバストアップ法』は、実は最も呼吸が深まる姿勢でもある」
「足裏をくっつけて仰向けに寝て膝を出来るだけ床に近づける、両肘は直角に曲げて床に着ける。

いわゆる赤ちゃんが寝ている時の姿勢。赤ちゃんは、この姿勢のときに呼吸が深まることを、本能で知っているんだよね。
長枕があったら、縦にして肩背部に当てて寝ると、胸が開いて更に呼吸が深まっちゃう。胸骨も上がるしね。

バスタオルを丸めて代用してもOK」
「『しあわせ本』に紹介されているように、確かにこの姿勢になることでバストアップする。
胸郭が開いて上がるからである。
老化すると胸郭が縮んで落ちてくる。すると並行してバストも垂れ始める。
胸も弾力を失って固くなるので、呼吸も固く浅くなる」
「赤ちゃんの姿勢でただ寝ているだけで、バストアップしちゃうんだから、超美味しいポーズだよね。
男性の場合は、胸板が厚くなるし。
男女ともに猫背も治っちゃう」
「外見が変わるだけでなく、胸が開いた分、肺活量もアップする。
つまり出入りする息の量が増える。
必要に応じて息の仕方を自在にコントロールできる=質 の面も大事だけど、最初は量も大事」
「教室で体操したときも、胸が開いて呼吸が深まると、日々の悩みなんか、ちっぽけなことに感じられるもんね。
その状態が長く続かないのが問題だけど(笑)」
「しかし、一度でも体験すれば、脳にはしっかりインプットされている。
毎日赤ちゃんの姿勢で寝ていれば、確実に呼吸力は上がっていく。
この姿勢で寝ると、下垂した胃腸も上がるので、消化器の調子も良くなる」
「ただ表面がキレイになるだけでなく、身体の芯から健康になることで、外見も美しくなるのが一番。
だからヨガでは、美容じゃなくて、美療(びりょう)って言うんだよね。
赤ちゃんの姿勢で寝ると、股関節も解放されちゃう。大人になると、なかなかこんなポーズはしないもんね。
股関節から内腿にかけては秘密を封印するライン。
右の股関節周辺には怒りの感情が、左股関節周辺には悲しみの感情が隠されている。
だから夜にこの格好を5分間するだけでも、日中に溜まったマイナスの感情が抜けて行くから、病氣や不運の予防になっちゃう」
「赤ちゃんの寝姿は、一番隙だらけに見えて最強の姿勢。
ある家に入った強盗が、家人を皆殺しにしたけれど、赤ちゃんにだけは手を出さなかった。
あとでつかまった強盗は、『あの無邪氣な寝姿を見たら、とても殺せなかった』と、取調官に語ったそうである」
「武道でも、『本当のお辞儀が出来る人は斬れない』って言うもんね。殺意・敵意を抜かれちゃうのかも」
「ただし、相手が本当に頭のおかしいヤツだったら通用しない。
何の躊躇(ちゅうちょ)もなく『隙あり!』とばかりに襲いかかって来る筈。
だから、この考え方は、性善説に基づいている」
「超簡単バストアップ法は、ブリージング流呼吸法でもあるんだよね。
世間で言う、腹式呼吸法じゃなくて、胸で呼吸する胸式呼吸法。
大きく息を出し入れすると、お腹が前後に動くけど、息は肺にしか入らない。
お腹が動くのは、横隔膜が連動して動いちゃっているせい」
「まずは胸郭の動きと、お腹=横隔膜の動きを区別できるようになりたい。
だから胸だけを動かすよう意識する。
最初は胸郭最下部=ウエストの一番上 をひもやネクタイで縛るといい。
お腹が動くことを、ひもが防いでくれる。
しっかり胸とお腹を分けて呼吸できるようになったら、やがてはブリージング流の腹式呼吸法に進んでいく。
けれど、それは基本よりだいぶ先の話。
この胸式呼吸法までは、ブリージングの基本に含まれるので、しっかり稽古してほしい」
「まずは胸の弾力・振幅力をつけることだもんね。
息を吐いたときと、吸ったときのバストの差は、9センチが目標。
身体がそれだけ丈夫になるし、他人の悪意やストレスにもやられにくくなるもんね」
「人間関係でやられるのは、相手の呼吸に巻き込まれてしまうから。
自分の呼吸の方が、相手より深く大きく、強くなれば、全然影響されなくなる。
この胸式呼吸法を続けていれば、自然にそういう呼吸力が身に着く。
肺活量を車のエンジンに喩えれば、一般の人は軽自動車並みのエンジンで走っている」
「だから強い呼吸をしようと思ったら、それだけ頑張らないといけない。
頑張り続けると、終いに身体を壊しちゃう。
胸式呼吸法を続けると、ベンツみたいなエンジン=肺活量になるから、頑張らなくても自然に力・強さを発揮しやすくなる」
「そういうこと。
特にリーダーや経営者、指導者になりたい人は、吸氣時と呼氣時の胸郭差は11センチが必要。
大勢の人間に影響力を発揮し、かつ自分がやられないためには、それだけの器が必要」
「整体師やセラピストも、11センチの胸郭差が目標だよね。
患者さんの邪氣を貰いやすいから」
「胸式呼吸法は、息は鼻から吸うけれど、吐くときは鼻から吐いても、口から吐いてもOK。
呼吸にイメージを加えて行くと、もう氣功になってしまう。
ただし、ここから先の話は本題ではないので、また別の機会に」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は、ワゴン車に乗って、遠出をするボクです。
ワゴン車のエンジンは強力で、どんどん他の車を追い抜いて行きます。
それでいて乗り心地はゆったりと快適です。呼吸が深い人の人生は、こんな感じなのかも知れません。
エンジンが弱い車で、東京から北海道へ行きたい、九州へ行きたいと願っても、なかなか厳しい旅になります。
人の身体のエンジンは、キレイなお腹=腸と、深い呼吸が出来る胸=肺に当たります。
能力開発とか、願望実現と言うと、多くの人が頭=脳からばかりやりたがりますが、まずはボディを整え、開発することです。
それだけで、意外と多くの夢がアッサリかなっちゃうことも多い筈。
その上で、脳を開発していけば、鬼に金棒ですね~。
つづく
呼吸を深くする姿勢・ポーズがあったら教えてください。
深いつもりで浅いのが呼吸」
「身体は呼吸の器だから、姿勢=器の形次第で、呼吸の深さが変わってくるのは当然だよね」
「システマと言うロシア武術でも、呼吸を重視している。
システマのテキストを読むと、呼吸と姿勢の関係についても、色々と言及されている。
たとえば、立位の時に猫背になると、当然呼吸は浅くなる。
だからと言って、無理に息を吸い過ぎると、姿勢が反りかえってきて=反り腰 もやはり苦しい。
呼吸も自由に変えられなくなる。
一番楽に深く自由な呼吸が出来るポジションを探っていくと、猫背でも、反り腰でもない、適度な立ち姿勢が分かるという」
「それって、胴体力メソッドで言う『股関節の捉え』が出来ている立ち方=内踝の真上に股関節が乗っている ってことじゃないの?
呼吸からアプローチしても、同じ結果にたどりつくってことか」
「そのとおり。要は常に股関節の捉えが出来ている人は、いつでも深くて最適な呼吸が出来るということである。
しかし、静止した姿勢で股関節の捉えが出来ていても、動き出した途端に捉えが無くなるのが凡人。
せっかく深まった呼吸も、安定した精神状態も、普段の自分に戻ってしまう」
「息は『自分の心』って書くもんね。
だから歩きながらの呼吸も大事。人は歩いて生活しているもん」
古久澤先生のメルマガとブログには、日常生活の中で呼吸を深めるためのヒントが満載!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
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ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「心身統一合氣道の藤平光一先生は、若き日に太平洋戦争で中国へ従軍した。
藤平先生は、出征前から家で毎日三時間の呼吸法をやっていたと言う。
戦地でも『動じない心』をキープするために、呼吸法を続けるつもりだったが、戦場では一日中行進しているので、座ってじっくり呼吸法をやっている時間が無かった。
仕方が無いので、行進しながら呼吸法を行う工夫をしたという」
「どんな工夫をしたの?」
「歩きながら息を静かに吐ききり、身体の中が静まるまで息を止めて何歩か歩く。
続いて歩きながら息を吸いきり、身体の中が静まるまで息を止めて何歩か歩く。
この呼吸法を繰り返しながら、心は常に臍下(せいか)の一点=下腹部の一点 に鎮める。
臍下の一点とは、股関節の捉えが出来ているのと同じ状態だと思われる」
「その効果は?」
「戦場の修羅場でも、冷静な判断が出来るようになったという。
終戦後、藤平先生は自分が無傷で帰ってきただけでなく、隊長として率いていた部下たちを一人も死なせずに帰国させたという。
呼吸法を真に会得した人は、自他の運命さえ左右出来るのではないか?と言う可能性を示すエピソード」
「歩きながらも呼吸を意識すると、藤平先生には遠く及ばなくても、運命改善法になるかもね」
「姿勢の話に戻ると、猫背は確かに呼吸を浅くするが、更に背中を丸めて行って肩を落とすと、かえって呼吸が深くなる」
「陰極まって陽になる ってとこか。
だって全力疾走して息が切れた時とかは、みんなそういう姿勢になるもんね。
少しでも酸素を多く取り込むために、本能的にそうなっちゃう」
「ただしこの姿勢は、本当に隙だらけの状態なので、武道やスポーツでは戒められている。
人が精神的に落ち込んだ時も、同じ姿勢になる。いわゆる『うなだれた』姿勢」
「リカバリーするために、呼吸を深めようと、無意識にそういう姿勢になっちゃうんだね。身体と潜在意識ってスゴイ=何でも知ってる。
どんな姿勢も必然性があってやってるってことか」
「『あしたのジョー』でも、試合前のジョーは、よく丹下ジムの壁際に膝を抱えてうずくまっていた。戦いに備えてエネルギーを蓄えるため。
試合後の傷をいやす時も同じ。
あの姿勢は呼吸を深め、エネルギーを充填してくれる」
「リアリストのちばてつや先生は、自分の身体感覚に忠実に描いていたってことだね」
「『あしたのジョー』のラストシーンは、世界タイトルマッチ後、真っ白に燃え尽きたジョーの描写で終わる。
しかし梶原一騎の原作では、ジョーは死んでいない。
後日、ヒロイン白木葉子邸で膝を抱えて座っているジョーの姿を、葉子が見守っている風景がラストシーンだった。
試合の後遺症で、ジョーが廃人になったかどうかは明かされないまま」
「『こんな結末じゃ締まらない』って納得できなかったちば先生が、ラストを変えたんだよね。
確かに真っ白な灰になった方が絵になるよ」
「けれど、梶原案でジョーが膝を抱えて座っている姿勢は、試合に向かってエネルギーを貯めているのと同じ姿勢。
だからジョーはボクシングを続けられない身体になったかも知れないけれど、いつかまた別の道で立ち上がるのではないか?という含みのあるラストなのかもしれない。
そう考えれば、評判が悪い梶原案にも、それなりの意義があったのでは?と指摘する人もいる」
「う~ん、姿勢と呼吸に着目すれば、色んな解釈が出来るってことだね」
「人間は耐え難いほどのストレスに直面すると、筋肉が固まって、呼吸が浅くなる場合もある。
呼吸が浅くなると、『感じる力』が弱まるからである」
「だって、あまりにもつらい状況をリアルに感じていたら、本当に死にたくなっちゃうかも知れないよ。
命を守るために、身体がわざわざ固まってくれているんだよね」
「今年映画化された、『海街diary』というマンガにも、似たようなエピソードが出てくる。
ある年の夏、鎌倉に住む三姉妹は、むかし自分たちを捨てて家を出て行った父親の葬儀で、腹違いの妹・すずに会う」
「すずはまだ中学生だけど、まるで大人のようにしっかりしているんだよね。
お父さんの葬儀でも、涙ひとつこぼさず、テキパキと振る舞っちゃう。
そんなすずの様子を見た三姉妹の長女は、『何て表情の無い子なんだろう』って感じるんだよね」
「周囲の大人たちは誰も知らなかったけれど、すずは癌で日々弱っていく父親の看病を、一人でやっていたのだった。
強力なストレスが身体の中に入ってくると、それを感じないように、表情筋が固まってしまう。
顔の筋肉が固まると、全身の筋肉も緊張し、感じる力が低下して行く」
「うつ病の人が典型だよね。表情が無くなっちゃうもん。
すずも、それに近い状態にあった訳か」
「葬儀を終えて、鎌倉に帰る三姉妹を見送るすずに、長女が
『すずちゃんがお父さんを看病してくれたんでしょう?本当にありがとう』
とお礼を言った。
自分の孤独と悲しみを、初めて分かって貰えたすずは、激しく泣いた。
その慟哭(どうこく)は、降るようなセミの声でも、かき消すことが出来ないほど激しいものだった」
「やがてすずは、三姉妹の薦めで鎌倉に出てきて、一緒に暮らし始める。
次第に感情を表現するようになったすずは、元氣な少女に戻っていくんだよね。
お葬式の後、長女のお蔭で、激しく泣けたからだよね。
あれで呼吸が変わったって言うこと。筋肉の硬直も解けたんだろうし」
「そのとおり。泣くことも立派な呼吸法。
以前、古久澤先生からお聞きした実話であるが、両親を亡くした幼い三兄弟が居た。
弟と妹は大泣きしたけれど、お兄ちゃんは泣かなかった」
「これからは自分がしっかりして、弟・妹を守らなきゃいけない って決意したから、泣くのをこらえたんだよね。
そしたら、大人になってからお兄ちゃんだけが、心の病氣になっちゃった」
「泣かなかったから、巨大な悲しみが筋肉に凍結保存されてしまった。
弟・妹と同じように泣いていれば、涙と一緒に悲しみを捨てられた筈なのに。
長い時間をかけて、そのトラウマが病氣の元に育ったということ」
「人間泣くべき時は、泣いた方がいいもんね。
大人でも、泣かないことを自慢するのは、バカ者だよ。感じる力が鈍いってことだから」
「鈍感な人でも、筋肉が緩んで来ると、自然に感情が甦ってくる。
ブリージングの年輩の会員さんにも、
『最近、キレイな夕焼けを見ると、我知らず涙がこぼれることがある。
いい年して恥ずかしい』
と照れる人がいる」
「照れることなんか、全然ないよね。
キレイなものを見て泣けるってことは、身体が柔らかくなって、心もピュアになってきた証拠だよ」
「自力で筋肉が緩んだ結果、封印された感情が出てくることがあっても、それは本人が耐えられる分しか出てこないので安全。
スワイショウをやっていて、昔の嫌な想い出がフラッシュバックするのも同じこと。
催眠やセラピーなどで、第三者が外部から介入してトラウマを思い出させると、耐えられないほどのパニックになって危険な場合がある」
「身体の深部に潜んでいた老廃物が、暴れ出すようなもんだよね。
トラウマも老廃物も、必然性があって隠れているんだから、他人が内部事情を無視して突っつかない方がいいってことだよ」
「古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』の58P~61Pに紹介されている『超簡単なバストアップ法』は、実は最も呼吸が深まる姿勢でもある」
「足裏をくっつけて仰向けに寝て膝を出来るだけ床に近づける、両肘は直角に曲げて床に着ける。

いわゆる赤ちゃんが寝ている時の姿勢。赤ちゃんは、この姿勢のときに呼吸が深まることを、本能で知っているんだよね。
長枕があったら、縦にして肩背部に当てて寝ると、胸が開いて更に呼吸が深まっちゃう。胸骨も上がるしね。

バスタオルを丸めて代用してもOK」
「『しあわせ本』に紹介されているように、確かにこの姿勢になることでバストアップする。
胸郭が開いて上がるからである。
老化すると胸郭が縮んで落ちてくる。すると並行してバストも垂れ始める。
胸も弾力を失って固くなるので、呼吸も固く浅くなる」
「赤ちゃんの姿勢でただ寝ているだけで、バストアップしちゃうんだから、超美味しいポーズだよね。
男性の場合は、胸板が厚くなるし。
男女ともに猫背も治っちゃう」
「外見が変わるだけでなく、胸が開いた分、肺活量もアップする。
つまり出入りする息の量が増える。
必要に応じて息の仕方を自在にコントロールできる=質 の面も大事だけど、最初は量も大事」
「教室で体操したときも、胸が開いて呼吸が深まると、日々の悩みなんか、ちっぽけなことに感じられるもんね。
その状態が長く続かないのが問題だけど(笑)」
「しかし、一度でも体験すれば、脳にはしっかりインプットされている。
毎日赤ちゃんの姿勢で寝ていれば、確実に呼吸力は上がっていく。
この姿勢で寝ると、下垂した胃腸も上がるので、消化器の調子も良くなる」
「ただ表面がキレイになるだけでなく、身体の芯から健康になることで、外見も美しくなるのが一番。
だからヨガでは、美容じゃなくて、美療(びりょう)って言うんだよね。
赤ちゃんの姿勢で寝ると、股関節も解放されちゃう。大人になると、なかなかこんなポーズはしないもんね。
股関節から内腿にかけては秘密を封印するライン。
右の股関節周辺には怒りの感情が、左股関節周辺には悲しみの感情が隠されている。
だから夜にこの格好を5分間するだけでも、日中に溜まったマイナスの感情が抜けて行くから、病氣や不運の予防になっちゃう」
「赤ちゃんの寝姿は、一番隙だらけに見えて最強の姿勢。
ある家に入った強盗が、家人を皆殺しにしたけれど、赤ちゃんにだけは手を出さなかった。
あとでつかまった強盗は、『あの無邪氣な寝姿を見たら、とても殺せなかった』と、取調官に語ったそうである」
「武道でも、『本当のお辞儀が出来る人は斬れない』って言うもんね。殺意・敵意を抜かれちゃうのかも」
「ただし、相手が本当に頭のおかしいヤツだったら通用しない。
何の躊躇(ちゅうちょ)もなく『隙あり!』とばかりに襲いかかって来る筈。
だから、この考え方は、性善説に基づいている」
「超簡単バストアップ法は、ブリージング流呼吸法でもあるんだよね。
世間で言う、腹式呼吸法じゃなくて、胸で呼吸する胸式呼吸法。
大きく息を出し入れすると、お腹が前後に動くけど、息は肺にしか入らない。
お腹が動くのは、横隔膜が連動して動いちゃっているせい」
「まずは胸郭の動きと、お腹=横隔膜の動きを区別できるようになりたい。
だから胸だけを動かすよう意識する。
最初は胸郭最下部=ウエストの一番上 をひもやネクタイで縛るといい。
お腹が動くことを、ひもが防いでくれる。
しっかり胸とお腹を分けて呼吸できるようになったら、やがてはブリージング流の腹式呼吸法に進んでいく。
けれど、それは基本よりだいぶ先の話。
この胸式呼吸法までは、ブリージングの基本に含まれるので、しっかり稽古してほしい」
「まずは胸の弾力・振幅力をつけることだもんね。
息を吐いたときと、吸ったときのバストの差は、9センチが目標。
身体がそれだけ丈夫になるし、他人の悪意やストレスにもやられにくくなるもんね」
「人間関係でやられるのは、相手の呼吸に巻き込まれてしまうから。
自分の呼吸の方が、相手より深く大きく、強くなれば、全然影響されなくなる。
この胸式呼吸法を続けていれば、自然にそういう呼吸力が身に着く。
肺活量を車のエンジンに喩えれば、一般の人は軽自動車並みのエンジンで走っている」
「だから強い呼吸をしようと思ったら、それだけ頑張らないといけない。
頑張り続けると、終いに身体を壊しちゃう。
胸式呼吸法を続けると、ベンツみたいなエンジン=肺活量になるから、頑張らなくても自然に力・強さを発揮しやすくなる」
「そういうこと。
特にリーダーや経営者、指導者になりたい人は、吸氣時と呼氣時の胸郭差は11センチが必要。
大勢の人間に影響力を発揮し、かつ自分がやられないためには、それだけの器が必要」
「整体師やセラピストも、11センチの胸郭差が目標だよね。
患者さんの邪氣を貰いやすいから」
「胸式呼吸法は、息は鼻から吸うけれど、吐くときは鼻から吐いても、口から吐いてもOK。
呼吸にイメージを加えて行くと、もう氣功になってしまう。
ただし、ここから先の話は本題ではないので、また別の機会に」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は、ワゴン車に乗って、遠出をするボクです。
ワゴン車のエンジンは強力で、どんどん他の車を追い抜いて行きます。
それでいて乗り心地はゆったりと快適です。呼吸が深い人の人生は、こんな感じなのかも知れません。
エンジンが弱い車で、東京から北海道へ行きたい、九州へ行きたいと願っても、なかなか厳しい旅になります。
人の身体のエンジンは、キレイなお腹=腸と、深い呼吸が出来る胸=肺に当たります。
能力開発とか、願望実現と言うと、多くの人が頭=脳からばかりやりたがりますが、まずはボディを整え、開発することです。
それだけで、意外と多くの夢がアッサリかなっちゃうことも多い筈。
その上で、脳を開発していけば、鬼に金棒ですね~。
つづく
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