鼻呼吸と口呼吸
- 2015/09/27
- 08:00
「最近、世間では『鼻で呼吸することが大事だ』と主張する人が増えてきました。
しかし、ブリージングストレッチは、鼻から息を吸って口から吐いています。
ブリージングでは鼻呼吸を採用していないのでしょうか?
鼻で呼吸するか、口で呼吸するか、それが問題だ」
「確かに、鼻呼吸の重要性を訴える人が、最近増えて来たよね。
有名なところでは、『あいうべ体操』を推奨している、今井一彰先生」
「今井先生は、西洋医学を修めた後に、東洋医学も学んだお医者さん。
チンパンも著書を拝読して、勉強になった点が多々ある」
「なぜ今井先生は、鼻呼吸を重視するようになったの?」
「今井先生は、子どもの頃から嗅覚がするどく、患者の体臭にも敏感だった。
多くの患者を診察するうちに、病氣の患者からは独特の口臭がすることに氣づいたという。
その匂いの元は口内の炎症だった。
口呼吸がクセになっていると、口の中は乾くし、病原菌は入りたい放題。
その結果、口内炎や歯周病になりやすくなる」
「匂いがキッカケで、口呼吸の弊害に氣づいたってわけか。
直感が鋭いことを『鼻が利く』って言うように、嗅覚は大切だよね。
口呼吸がクセになると、免疫力は低下するし、自律神経も乱れやすくなるから、心身ともに病氣に向かって行っちゃうよね」
「食事や運動を整えても、呼吸の仕方がまずいと、なかなか体質改善が出来ない。
だから鼻呼吸が出来る身体にしていくことで、必要以上に薬に頼る医療から脱却しよう というのが今井先生の理念」
「すごく立派な信念だよね。
その具体的な方法が『あいうべ体操』?」
「口呼吸がクセになるのは、一つは口回りの筋肉に締まりがないから。
『あー』で大きくタテに口を開け、『いー』で横に開き、『うー』で唇を突き出す」
「最後に『べー』でアカンベーをする理由は?」
「舌の筋肉を鍛えるため。舌の筋力が弱いと、舌自身の重みで口内で落っこちてくる。
落ちた舌が氣道を塞ぐので、鼻呼吸や睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる」
「呼吸と舌って、実は深い関係があるもんね。そこに着目した今井先生は鋭いね。
呼吸法も舌の使い方に秘密があるし」
「今井先生は『あいうべ体操』を1日30回習慣にすれば、次第に口と舌の筋力がついてくるので、鼻呼吸に移行できると薦めている。
チンパンも朝夜に、毎日鏡の前でやってみた。
やった上で氣づいたことは、ブリージングストレッチの『アカンベー体操』で、同じ効果が出せるんじゃないかと言うこと」
「『アカンベー体操』は、古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』にも紹介されているよね(P78~P79)。
手の小指を左右の口角に引っ掛けて、大きく横に口を開く。
その状態でアカンベー。舌を上下左右に大きく伸ばすんだよね」
「回数は、本には30~50回と書いてあるけど、慣れたら108回。チンパンは毎朝やっている。
アカンベー体操の正式名称はヨガの『ライオンのポーズ』。
ライオンが舌を出している様子に見立てたもの。
アカンベー体操で口と舌を鍛えられるので、鼻呼吸しやすくなるだけでなく、口回りの筋肉が引き締まって小顔になるという効果もある。
女性の場合は、口は子宮とつながっているので、婦人科系疾患の改善も期待できる。
男女共通して消化器の具合もよくなる」
「実は肛門締めも、口の締まりをつけるためにはいいんだよね。
口も肛門も、消化器官の出入り口だから」
「そのとおり。一つのことを毎日やり続けるだけでも、口の締まりは良くなって行く。
顔にはその人の生き方が染み込んでいくため。
当然、ますます鼻呼吸しやすくなる」
「生き方=息の仕方 だもんね」
「今井先生は、睡眠中の呼吸についても重視している。
眠っている間は最大の無意識時間。多くの人は口を開けて寝るから、口呼吸になってしまう」
「確かに、朝起きたら口の中が乾いていることが多いもんね」
「口呼吸では睡眠中に、免疫力の低下と、自律神経の狂いを招いてしまう。
それを防ぐには、口に医療テープやバンソウコウを貼って寝ることを薦めている。
睡眠中に口を開けたら、テープが取れてしまうため」
「礒谷式(いそがいしき)力学療法の、ひも縛り睡眠に共通する発想だね。
ブリージングでも取り入れられているけれど、寝相で股関節が歪むから、ひもで足を縛って寝れば、睡眠時間も整体時間に転化できるって考え方」
「睡眠を病氣に向かう方向に使うか、ベクトルを健康に向けるかで、成果が全然違ってくる。
古久澤先生の著書『寝ているうちにやせるカラダになる!ブリージングストレッチ』もそういう内容。
実はチンパンも、口にバンソウコウを貼って寝てみたことがある」
「何事も実際にやってみないと分からないもんね。その結果は?」
「何回やっても朝起きたらバンソウコウを剥がしているので、『この方法は自分には向かない』と諦めた」
「チンパン君の場合は、手も縛って寝るしかないかもね(笑)」
「今井先生は、ヨガも研究されているらしく、鼻穴のつまりを解消するために、食塩水で鼻うがいすることを薦めている。
スポイトやしょう油さしを使って、片方の鼻穴から食塩水を入れて、鼻穴をクリーニングする。
鼻うがいで、鼻呼吸がやりやすくなる。
これはヨガのメソッドのひとつ。
『スカアプルバク』という片方呼吸法についても言及されている」
「左右片方の穴で交互に呼吸する、ヨガの呼吸法だよね。
人差し指を鼻柱に当てて、親指と中指で鼻頭を交互におさえちゃう。

右の鼻穴から息を吸って、左の鼻穴から吐く。
左の鼻穴から息を吸って、右の鼻穴から吐く・・・・・。
やり方は他にもあるけど、スカアプルバクを繰り返すうちに、左右の鼻穴でバランスよく呼吸できるようになっていくんだよね。
すると自律神経のバランスも整っちゃう」
「現代医学でも、人は左右の鼻穴で五分に呼吸しているのではないことが分かってきた。
常に左右どちらかの鼻穴から、息が多く出入りしている。スカアプルバクをやると、呼吸の左右差に氣づかされる」
「人は息の仕方さえ、左右で偏っているっていうことだよね。
その偏り方が極端になりすぎると、病氣になっちやう」
「左右どちらの鼻穴がメインで呼吸しているかも不動ではなく変化している。
2~3時間ごとに交代することが、現代医学でも認められ始めたが、まだその理由は解明されていない」
「でもヨガではず~っと昔からこのことに氣づいていたんだよね。
古来からの人類の知恵って、畏敬すべきものがあるよ」
「実は片鼻呼吸のこの先の秘密も、ヨガでは発見されており、ブリージング一年講座でも説かれているけれど、本題ではないこともあるため、今回は割愛させていただきます」
古久澤先生のメルマガとブログには、呼吸についの秘密が満載!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「ところで、相談者さんの質問=なぜブリージングストレッチの基本では、口から息を吐くのか への回答は?」
「口呼吸の利点は、鼻呼吸よりも、短時間で大量に息を出し入れできること。
だから非常事態のときは、口呼吸にしないと間に合わない。
災害にあって全力疾走で逃げなきゃいけないときに、鼻呼吸していたら死んでしまう。
スポーツや武道でも、激しく動いているときは口呼吸」
「神道や山伏の行で、滝に打たれるときも、口から息を吐くもんね。
古久澤先生も何度も滝行を経験されてるけど、
『滝の水はすごく冷たくて、首筋に当たると息が出来なくなるほど。
口から思い切り息を吐かないと、呼吸ができなくなってしまう』
とおっしゃっているし」
「基本のブリージングストレッチで、口から息を吐くのも、やはり非常事態用だから。
現代人は、身体が歪み、凝りまくっていて、血行も偏りがある。
つまり、新鮮な酸素が届かず、邪氣だらけの場所が、身体のアチコチにあるということ」
「病氣は息が滞った場所から発生するもんね。
癌も同じ」
「息が浅い個所は、そういう状態が何年も続いて慢性化している。
だから鼻で息を吐いていたのでは刺激が届かない。
口で強制的に息と一緒に邪氣を抜いていく。
吐ききれば、吸う方は身体が勝手にやってくれる」
「納得」
「もちろん、体操の合間に入れる内観では、目と口を閉じて背筋を伸ばし、鼻で静かに呼吸する。
鼻呼吸でないと、体操による身体の内部変化を、明確に感じられないため。
口から息を吐きながら内観すると、自分の呼吸で内部にゆらぎが生じ、体操の刺激と混ざって区別できなくなる」
「ブリージングストレッチは、必要に応じて息の仕方を使い分ける構成になっているってことか」
「武道でも、『無息(むそく)の呼吸』と言って、鼻でものすごく静かに呼吸する方法がある。
相手に自分の意図を悟らせないため、息を読ませない。
そして隙を見つけたら、口呼吸に切り替えて一瞬で仕留める」
「人間同士の勝負は、呼吸の攻防・読み合いとも言えるもんね。
野球でも、バッターはピッチャーの呼吸に合わせようとするのがコツって言う人もいるよ。
ピッチャーと同じタイミングで息を吸ったり吐いたりしていると、ピッチャーに集中できてアガリ防止になる。
呼吸が同調してくると、投げてくるタイミングなど、ピッチャーの意図が読みやすくなるって言うし」
「ピッチャーは呼吸の同調を防ぐために、ロージンバックを使ったりして、呼吸を外そうとする。
呼吸は『感じる力』と深く関わっているということ。
時代劇の合戦シーンには、大将が部下の報告を受ける様子がよく出てくる。
鎧兜に身を固めた大将は、床几に腰をかけ、背筋を伸ばして目を閉じて部下の報告を聴いている。
当然このときは鼻呼吸している。鼻呼吸で自分の内面が静かでないと、判断を誤るため。
そしておもむろに『こうしろ』と指示を出す」
「現代は合戦は無いけれど、仕事や日々の生活の中で、次々に問題が降りかかって来るもんね。
素早く的確な判断を下さなきゃいけない点は同じ。
だから鼻呼吸の習慣をつけることが必要なわけか」
「そのとおり。あせっているときは、絶対に鼻で呼吸できていない。
普段は鼻で静かに呼吸する習慣をつけることが、仕事や人間関係を上手く運ぶために必須。
身体の健康にも、心・感情の安定にもいいしね。
その上で、必要なときには、激しく強い息を口から吐ける身体にする」
「どんなピンチも、息さえ吐ければ引っくり返せるし、素早く動くことも出来るもんね」
「動物で言うと、猫が理想。
普段はゴロゴロと超リラックスしているが、危険を感じた時や、獲物を取るときは、目にも止まらぬ速さで動く。
そのあとはまたゴロゴロと静かになる。
この猫の呼吸を見習うべき。武道にも『猫の妙術(みょうじゅつ)』という極意書があるくらい」
「身体の動きで言うと、<股関節の捉え>が出来ている状態ってことだね。
いつも重心がニュートラル状態だから、必要なときにいきなりトップギアで動いて、すぐに止まることも出来る。
そういう身体なら、呼吸も自在ってわけか」
「何事にも陰陽があって、実は鼻呼吸も静かなものばかりとは限らない。
鼻から素早く息を出し入れする呼吸法も、ブリージングストレッチにはある」
「鼻でフン、フン、フン!と9回短く素早く呼吸して、10回目にフ~ンッ!とひときわ大きく長く、息を吐く呼吸法だよね。
最後は馬がヒヒ~ン!といななくような感じ」
「ヨガでは『火の呼吸』とも言う。
繰り返していると、息の流れと血流が活性化されて、体温が上がってくる。
寒い時、やる氣が出ないときに行うと効果的。
ストレッチ中にやってもいい。
負荷をかけた箇所から息を出し入れするイメージで、素早く鼻呼吸すると、そこの老廃物が燃えやすい」
「実際に、ストレッチの刺激の深さ、筋肉の伸び具合もよくなるもんね。
特に脇腹のぜい肉を取りたいときは、ビーナスのポーズ=グラビアモデルみたいな姿勢になって、火の呼吸を行うと効いちゃう」

「火の呼吸は10年以上前にはやったことがある。
色んなストレッチのポーズで行えるけど、いつも氣が上がっている人が行うと、ますます頭に氣血が昇ってしまう。
だから教室では余りこの呼吸法はやっていない」
「自分で行う場合も、ほどほどにしておいた方が無難だよね。
まず屈伸や下半身の体操をやって、氣を充分足腰に落としてからやると安全かも」
「そして、最後は鼻呼吸で静かに内観することを忘れないように。
『火の呼吸』を上手にやっていたのが格闘家のヒクソン・グレイシー。
鼻で素早く息を出し入れしながら、お腹=横隔膜も柔らかくスピーディに動かしていた。
あれはヨガのバンダという技法。
いまでもYou Tubeなどで動画が見れると思う。
しかし、氣が上がって腸が宿便だらけの現代日本人が、真似をすると危険なので、イメージを脳に入れるだけにした方が無難」
「呼吸って本当に奥深いよね~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は、アカンベー体操をしているボクです。
鼻ペロン!できるくらい舌が伸びていますね~。
人間も、このくらい舌が自在に柔らかく使えるようになると、呼吸も身体も変わってくるでしょう。
舌が伸びると、脳が緩んで、胴体の反りが良くなるからです。
バスケット選手のマイケル・ジョーダンのベロ出しは有名でしたね~。
ジョーダンは身体感覚でその効用を知っていたのでしょう。
仏教でも、『如来が舌を伸ばすと、舌が髪の生え際まで届く』=大舌相(だいぜっそう)と言われています。
それだけリラックスできているということなのかも知れません。
犬はよく舌を出してハアハアやっていますが、あれは体温を下げているだけで、呼吸は鼻でやっています。
口呼吸できる哺乳類は人間だけなんです。
だからこそ、人間は言葉を喋れるようになったし、鼻呼吸と口呼吸を自在に使い分けることも出来ます。
同時に口呼吸が色んな病氣の原因になったというリスクも負いました。
二本足で立ったお陰で、手が自由になって脳が発達した代償に、腰痛や重心の狂いなどが生じたようなものですね。
豊かな可能性の裏に、リスクが生じるのは、陰陽ですから避けることは出来ません。
いかに負の面を出さずに、陰陽調和させるか=中庸(ちゅうよう)を探るべきでしょう。
健康法は大きなスケール=生物進化 で考えることも必要だということですね~。
つづく
しかし、ブリージングストレッチは、鼻から息を吸って口から吐いています。
ブリージングでは鼻呼吸を採用していないのでしょうか?
鼻で呼吸するか、口で呼吸するか、それが問題だ」
「確かに、鼻呼吸の重要性を訴える人が、最近増えて来たよね。
有名なところでは、『あいうべ体操』を推奨している、今井一彰先生」
「今井先生は、西洋医学を修めた後に、東洋医学も学んだお医者さん。
チンパンも著書を拝読して、勉強になった点が多々ある」
「なぜ今井先生は、鼻呼吸を重視するようになったの?」
「今井先生は、子どもの頃から嗅覚がするどく、患者の体臭にも敏感だった。
多くの患者を診察するうちに、病氣の患者からは独特の口臭がすることに氣づいたという。
その匂いの元は口内の炎症だった。
口呼吸がクセになっていると、口の中は乾くし、病原菌は入りたい放題。
その結果、口内炎や歯周病になりやすくなる」
「匂いがキッカケで、口呼吸の弊害に氣づいたってわけか。
直感が鋭いことを『鼻が利く』って言うように、嗅覚は大切だよね。
口呼吸がクセになると、免疫力は低下するし、自律神経も乱れやすくなるから、心身ともに病氣に向かって行っちゃうよね」
「食事や運動を整えても、呼吸の仕方がまずいと、なかなか体質改善が出来ない。
だから鼻呼吸が出来る身体にしていくことで、必要以上に薬に頼る医療から脱却しよう というのが今井先生の理念」
「すごく立派な信念だよね。
その具体的な方法が『あいうべ体操』?」
「口呼吸がクセになるのは、一つは口回りの筋肉に締まりがないから。
『あー』で大きくタテに口を開け、『いー』で横に開き、『うー』で唇を突き出す」
「最後に『べー』でアカンベーをする理由は?」
「舌の筋肉を鍛えるため。舌の筋力が弱いと、舌自身の重みで口内で落っこちてくる。
落ちた舌が氣道を塞ぐので、鼻呼吸や睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる」
「呼吸と舌って、実は深い関係があるもんね。そこに着目した今井先生は鋭いね。
呼吸法も舌の使い方に秘密があるし」
「今井先生は『あいうべ体操』を1日30回習慣にすれば、次第に口と舌の筋力がついてくるので、鼻呼吸に移行できると薦めている。
チンパンも朝夜に、毎日鏡の前でやってみた。
やった上で氣づいたことは、ブリージングストレッチの『アカンベー体操』で、同じ効果が出せるんじゃないかと言うこと」
「『アカンベー体操』は、古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』にも紹介されているよね(P78~P79)。
手の小指を左右の口角に引っ掛けて、大きく横に口を開く。
その状態でアカンベー。舌を上下左右に大きく伸ばすんだよね」
「回数は、本には30~50回と書いてあるけど、慣れたら108回。チンパンは毎朝やっている。
アカンベー体操の正式名称はヨガの『ライオンのポーズ』。
ライオンが舌を出している様子に見立てたもの。
アカンベー体操で口と舌を鍛えられるので、鼻呼吸しやすくなるだけでなく、口回りの筋肉が引き締まって小顔になるという効果もある。
女性の場合は、口は子宮とつながっているので、婦人科系疾患の改善も期待できる。
男女共通して消化器の具合もよくなる」
「実は肛門締めも、口の締まりをつけるためにはいいんだよね。
口も肛門も、消化器官の出入り口だから」
「そのとおり。一つのことを毎日やり続けるだけでも、口の締まりは良くなって行く。
顔にはその人の生き方が染み込んでいくため。
当然、ますます鼻呼吸しやすくなる」
「生き方=息の仕方 だもんね」
「今井先生は、睡眠中の呼吸についても重視している。
眠っている間は最大の無意識時間。多くの人は口を開けて寝るから、口呼吸になってしまう」
「確かに、朝起きたら口の中が乾いていることが多いもんね」
「口呼吸では睡眠中に、免疫力の低下と、自律神経の狂いを招いてしまう。
それを防ぐには、口に医療テープやバンソウコウを貼って寝ることを薦めている。
睡眠中に口を開けたら、テープが取れてしまうため」
「礒谷式(いそがいしき)力学療法の、ひも縛り睡眠に共通する発想だね。
ブリージングでも取り入れられているけれど、寝相で股関節が歪むから、ひもで足を縛って寝れば、睡眠時間も整体時間に転化できるって考え方」
「睡眠を病氣に向かう方向に使うか、ベクトルを健康に向けるかで、成果が全然違ってくる。
古久澤先生の著書『寝ているうちにやせるカラダになる!ブリージングストレッチ』もそういう内容。
実はチンパンも、口にバンソウコウを貼って寝てみたことがある」
「何事も実際にやってみないと分からないもんね。その結果は?」
「何回やっても朝起きたらバンソウコウを剥がしているので、『この方法は自分には向かない』と諦めた」
「チンパン君の場合は、手も縛って寝るしかないかもね(笑)」
「今井先生は、ヨガも研究されているらしく、鼻穴のつまりを解消するために、食塩水で鼻うがいすることを薦めている。
スポイトやしょう油さしを使って、片方の鼻穴から食塩水を入れて、鼻穴をクリーニングする。
鼻うがいで、鼻呼吸がやりやすくなる。
これはヨガのメソッドのひとつ。
『スカアプルバク』という片方呼吸法についても言及されている」
「左右片方の穴で交互に呼吸する、ヨガの呼吸法だよね。
人差し指を鼻柱に当てて、親指と中指で鼻頭を交互におさえちゃう。

右の鼻穴から息を吸って、左の鼻穴から吐く。
左の鼻穴から息を吸って、右の鼻穴から吐く・・・・・。
やり方は他にもあるけど、スカアプルバクを繰り返すうちに、左右の鼻穴でバランスよく呼吸できるようになっていくんだよね。
すると自律神経のバランスも整っちゃう」
「現代医学でも、人は左右の鼻穴で五分に呼吸しているのではないことが分かってきた。
常に左右どちらかの鼻穴から、息が多く出入りしている。スカアプルバクをやると、呼吸の左右差に氣づかされる」
「人は息の仕方さえ、左右で偏っているっていうことだよね。
その偏り方が極端になりすぎると、病氣になっちやう」
「左右どちらの鼻穴がメインで呼吸しているかも不動ではなく変化している。
2~3時間ごとに交代することが、現代医学でも認められ始めたが、まだその理由は解明されていない」
「でもヨガではず~っと昔からこのことに氣づいていたんだよね。
古来からの人類の知恵って、畏敬すべきものがあるよ」
「実は片鼻呼吸のこの先の秘密も、ヨガでは発見されており、ブリージング一年講座でも説かれているけれど、本題ではないこともあるため、今回は割愛させていただきます」
古久澤先生のメルマガとブログには、呼吸についの秘密が満載!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「ところで、相談者さんの質問=なぜブリージングストレッチの基本では、口から息を吐くのか への回答は?」
「口呼吸の利点は、鼻呼吸よりも、短時間で大量に息を出し入れできること。
だから非常事態のときは、口呼吸にしないと間に合わない。
災害にあって全力疾走で逃げなきゃいけないときに、鼻呼吸していたら死んでしまう。
スポーツや武道でも、激しく動いているときは口呼吸」
「神道や山伏の行で、滝に打たれるときも、口から息を吐くもんね。
古久澤先生も何度も滝行を経験されてるけど、
『滝の水はすごく冷たくて、首筋に当たると息が出来なくなるほど。
口から思い切り息を吐かないと、呼吸ができなくなってしまう』
とおっしゃっているし」
「基本のブリージングストレッチで、口から息を吐くのも、やはり非常事態用だから。
現代人は、身体が歪み、凝りまくっていて、血行も偏りがある。
つまり、新鮮な酸素が届かず、邪氣だらけの場所が、身体のアチコチにあるということ」
「病氣は息が滞った場所から発生するもんね。
癌も同じ」
「息が浅い個所は、そういう状態が何年も続いて慢性化している。
だから鼻で息を吐いていたのでは刺激が届かない。
口で強制的に息と一緒に邪氣を抜いていく。
吐ききれば、吸う方は身体が勝手にやってくれる」
「納得」
「もちろん、体操の合間に入れる内観では、目と口を閉じて背筋を伸ばし、鼻で静かに呼吸する。
鼻呼吸でないと、体操による身体の内部変化を、明確に感じられないため。
口から息を吐きながら内観すると、自分の呼吸で内部にゆらぎが生じ、体操の刺激と混ざって区別できなくなる」
「ブリージングストレッチは、必要に応じて息の仕方を使い分ける構成になっているってことか」
「武道でも、『無息(むそく)の呼吸』と言って、鼻でものすごく静かに呼吸する方法がある。
相手に自分の意図を悟らせないため、息を読ませない。
そして隙を見つけたら、口呼吸に切り替えて一瞬で仕留める」
「人間同士の勝負は、呼吸の攻防・読み合いとも言えるもんね。
野球でも、バッターはピッチャーの呼吸に合わせようとするのがコツって言う人もいるよ。
ピッチャーと同じタイミングで息を吸ったり吐いたりしていると、ピッチャーに集中できてアガリ防止になる。
呼吸が同調してくると、投げてくるタイミングなど、ピッチャーの意図が読みやすくなるって言うし」
「ピッチャーは呼吸の同調を防ぐために、ロージンバックを使ったりして、呼吸を外そうとする。
呼吸は『感じる力』と深く関わっているということ。
時代劇の合戦シーンには、大将が部下の報告を受ける様子がよく出てくる。
鎧兜に身を固めた大将は、床几に腰をかけ、背筋を伸ばして目を閉じて部下の報告を聴いている。
当然このときは鼻呼吸している。鼻呼吸で自分の内面が静かでないと、判断を誤るため。
そしておもむろに『こうしろ』と指示を出す」
「現代は合戦は無いけれど、仕事や日々の生活の中で、次々に問題が降りかかって来るもんね。
素早く的確な判断を下さなきゃいけない点は同じ。
だから鼻呼吸の習慣をつけることが必要なわけか」
「そのとおり。あせっているときは、絶対に鼻で呼吸できていない。
普段は鼻で静かに呼吸する習慣をつけることが、仕事や人間関係を上手く運ぶために必須。
身体の健康にも、心・感情の安定にもいいしね。
その上で、必要なときには、激しく強い息を口から吐ける身体にする」
「どんなピンチも、息さえ吐ければ引っくり返せるし、素早く動くことも出来るもんね」
「動物で言うと、猫が理想。
普段はゴロゴロと超リラックスしているが、危険を感じた時や、獲物を取るときは、目にも止まらぬ速さで動く。
そのあとはまたゴロゴロと静かになる。
この猫の呼吸を見習うべき。武道にも『猫の妙術(みょうじゅつ)』という極意書があるくらい」
「身体の動きで言うと、<股関節の捉え>が出来ている状態ってことだね。
いつも重心がニュートラル状態だから、必要なときにいきなりトップギアで動いて、すぐに止まることも出来る。
そういう身体なら、呼吸も自在ってわけか」
「何事にも陰陽があって、実は鼻呼吸も静かなものばかりとは限らない。
鼻から素早く息を出し入れする呼吸法も、ブリージングストレッチにはある」
「鼻でフン、フン、フン!と9回短く素早く呼吸して、10回目にフ~ンッ!とひときわ大きく長く、息を吐く呼吸法だよね。
最後は馬がヒヒ~ン!といななくような感じ」
「ヨガでは『火の呼吸』とも言う。
繰り返していると、息の流れと血流が活性化されて、体温が上がってくる。
寒い時、やる氣が出ないときに行うと効果的。
ストレッチ中にやってもいい。
負荷をかけた箇所から息を出し入れするイメージで、素早く鼻呼吸すると、そこの老廃物が燃えやすい」
「実際に、ストレッチの刺激の深さ、筋肉の伸び具合もよくなるもんね。
特に脇腹のぜい肉を取りたいときは、ビーナスのポーズ=グラビアモデルみたいな姿勢になって、火の呼吸を行うと効いちゃう」

「火の呼吸は10年以上前にはやったことがある。
色んなストレッチのポーズで行えるけど、いつも氣が上がっている人が行うと、ますます頭に氣血が昇ってしまう。
だから教室では余りこの呼吸法はやっていない」
「自分で行う場合も、ほどほどにしておいた方が無難だよね。
まず屈伸や下半身の体操をやって、氣を充分足腰に落としてからやると安全かも」
「そして、最後は鼻呼吸で静かに内観することを忘れないように。
『火の呼吸』を上手にやっていたのが格闘家のヒクソン・グレイシー。
鼻で素早く息を出し入れしながら、お腹=横隔膜も柔らかくスピーディに動かしていた。
あれはヨガのバンダという技法。
いまでもYou Tubeなどで動画が見れると思う。
しかし、氣が上がって腸が宿便だらけの現代日本人が、真似をすると危険なので、イメージを脳に入れるだけにした方が無難」
「呼吸って本当に奥深いよね~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は、アカンベー体操をしているボクです。
鼻ペロン!できるくらい舌が伸びていますね~。
人間も、このくらい舌が自在に柔らかく使えるようになると、呼吸も身体も変わってくるでしょう。
舌が伸びると、脳が緩んで、胴体の反りが良くなるからです。
バスケット選手のマイケル・ジョーダンのベロ出しは有名でしたね~。
ジョーダンは身体感覚でその効用を知っていたのでしょう。
仏教でも、『如来が舌を伸ばすと、舌が髪の生え際まで届く』=大舌相(だいぜっそう)と言われています。
それだけリラックスできているということなのかも知れません。
犬はよく舌を出してハアハアやっていますが、あれは体温を下げているだけで、呼吸は鼻でやっています。
口呼吸できる哺乳類は人間だけなんです。
だからこそ、人間は言葉を喋れるようになったし、鼻呼吸と口呼吸を自在に使い分けることも出来ます。
同時に口呼吸が色んな病氣の原因になったというリスクも負いました。
二本足で立ったお陰で、手が自由になって脳が発達した代償に、腰痛や重心の狂いなどが生じたようなものですね。
豊かな可能性の裏に、リスクが生じるのは、陰陽ですから避けることは出来ません。
いかに負の面を出さずに、陰陽調和させるか=中庸(ちゅうよう)を探るべきでしょう。
健康法は大きなスケール=生物進化 で考えることも必要だということですね~。
つづく
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