イメージする力が、人生を変える
- 2015/07/12
- 08:00
「ダイエットも、仕事も、恋愛も、いつもイイ線まで行くんですが、結局ダメになってしまうことが多いです。
何がまずいんでしょうか?
しあわせが逃げて行く女」
「きっと相談者さんは、『セルフイメージ』に問題があるんだろうね。
セルフイメージとは、『私はこういう人間だ』って言う自分像。
『成功できない私』『失敗する私』というセルフイメージを持っていると、無意識にそれにふさわしい行動を取っちゃう」
「人間は、自分のセルフイメージ以上の生き方は出来ない。
たとえば、成績が低空飛行の学生は、たまたまテストでいい点を取っても、それが持続しないことが多い。
『自分は勉強が出来ないんだ、頭が悪いんだ』というセルフイメージが消えないため。
ダイエットしてもリバウンドするのも、『太っている私』のセルフイメージに縛られているから。
人間同士を比較したとき、肉体的にはそれほど巨大な差はない」
「どんな大男でも、身長10メートルの人なんか居ないもんね。
でも、巨万の富を稼いだり、社会に大きく貢献する仕事をする人も居れば、貧しくてパッとしないまんま一生を終える人も居るのは、セルフイメージが違うから?」
「そのとおり。イメージ力が人生に大きな差をつけるということ。
しかし、大人になると、セルフイメージもイメージ力もそうそう変わらない。
ブリージングストレッチは、そこを突破するために、『イメージング』=一種の瞑想 を取り入れている。
スポーツ界で積極的に取り入れられている、メンタルトレーニングも、イメージングに入る」
古久澤先生のメルマガとブログに学んで、イメージ力を高めよう!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「そもそもブリージングは、呼吸とイメージングに引っ掛けた言葉だもんね。
体操で身体をほぐし整えた後は、呼吸法をやって、最後にイメージングで締めるのが基本の全プロセス。
古久澤先生も、
『ブリージングの指導員だったら、一種類くらいはイメージングの誘導が出来るようになって欲しい』
っておっしゃているもんね。
チンパン君も、先日のチンパン基礎クラスでイメージングを初めて誘導してたし。
ところで、なんでイメージングがセルフイメージの書き換えに役立つの?」
「頭が固い人、性格が頑固な人ほど、セルフイメージを変えることが難しい。
文字通り『固い』から。イメージングは固い頭と心を緩めてくれる。
イメージングの誘導は、仰向けに寝た生徒に、『手足がポカポカ暖かい、重たい』『お腹が暖かい』などと実感させることから始まる。一種のリラクゼーション」
「でも、訓練していない人は、『手が暖かくなった』って言われても、なかなか実感できないよね。
だから体操の後でイメージングに入ると効くんだよね。
既に身体の緊張がある程度取れて、手足の血行が良くなっているもんね。
そこに『手足が暖かい』って言われると、『あっ、本当だ・・・・』ってなっちゃう」
「だから指導者の言葉を信頼し始める。
それでなくてもストレッチによって脳の緊張が取れ始め、変性意識モード=一種の催眠状態 に入りやすくなっている。
固いセルフイメージも溶け出した氷のように緩み始めている。
ここに色んな暗示を入れると、セルフイメージを書き換えられる。
この原理を悪用すると『洗脳』になる」
「一番無難なのは、『私は日に日に あらゆる面で ますます 良くなっている』っていうアファメーションを入れることだよね。
副作用も反応もないし、健康も仕事も人間関係も金運も、文字通りあらゆる面がよくなっていくから。
でもイメージングの初心者は、アファメーションを入れる前に寝ちゃう場合もあるじゃん。
それでも効いているの?」
「寝てしまうのは、リラックスできている証拠だからOK。
チンパンは緊張が強いタイプだったので、初めのころは全然眠くならず、イメージングは退屈だった。
でも体操を続けているうちに、眠れるようになった。
半覚半睡の状態でも、耳は言葉を拾っている。
もし完全に熟睡してしまったとしても、健康効果はある。
昔、ブリージングの生徒さんにパチンコ屋の店員が居たという。
徹夜明けで教室に来て、イメージングで短時間熟睡する。
それですっかり疲れが取れるので、その日1日遊べると喜んでいたそうである」
「睡眠って、質が大事だもんね。
浅い眠りを長時間ダラダラ取ると、かえってだるくなる場合もあるくらい。
眠りが浅いのは、脳と身体の緊張を引きずったまま寝るからだもんね。
体操で心身を緩め、イメージング=リラクゼーションして眠れば、短時間睡眠でリフレッシュできるってわけか。
納得」
「もちろん、リラクゼーションはイメージングの導入に過ぎない。
その先に雨の音や、時計の針の音をずっと聞いている瞑想や、鳥になって空を飛ぶイメージングなど色んなやり方がある。
イメージングという言葉を知らなくても、イメージングの原理を活用している人は多い。
ボクサーが行うシャドーボクシングもそのひとつ。
シャドーボクシングは、相手を影=シャドーとして仮想し、実際に戦っているイメージで一人で動く。
もちろん相手のパンチを全部よけて、自分のパンチが全部当たったというイメージで行う。
強いボクサーほど、鮮明なイメージを持ったシャドーが出来る」
「自分がやられているところをイメージするシャドーボクシングなんかないもんね(笑)。
でも、実人生では、知らず知らずのうちに、自分が失敗するところをイメージして行動し勝ち。
それが成功できない大きな原因だよね。相談者さんも同じだよ」
「人間はセルフイメージを自由に描けるけど、その原点は誰かのマネ。
自分の親や家族、友人、先輩のマネをしながら、だんだんとその人なりのセルフイメージが形作られていった」
「確かに、子どもは物まねが大好きだもんね。
男の子だったら、ウルトラマンごっこや仮面ライダーごっこ。
女の子だったら、ままごと遊びが典型。
大人の癖も、すぐマネしちゃうし」
「だから大人になってから、セルフイメージをつくり変えたかったら、また物まねすればいい。
それが氣功で言う見立て(みたて)。
役者は、自分以外の色んな人間になり切るのが仕事。
しかし、氣功の場合は、動物や植物、空に浮かぶ雲や、石など人間以外の存在にもなり切ろうとする」
「ヨガのポーズも同じだよね。猫のポーズとか、犬のポーズとか、椅子のポーズとかあるもんね。
それでセルフイメージが変わるの?」
「私は私だ!というセルフイメージにしがみついている間は、自分を外側から眺められない。
つまり盲点だらけ。
自分以外、人間以外の存在になり切ることで、自分を客観視できる。
セルフイメージの壁も越えられる。
『らんま1/2』というマンガがある。主人公の早乙女らんまは、中国拳法の使い手で、とても強い。
しかし、怖いもの=弱点を抱えている」
「らんまは猫が怖いんだよね(笑)。
父親の無茶な修行の後遺症で、猫を見ると腰を抜かすほど怯えちゃう」
「その弱点を知ったライバルたちは、らんまに猫をけしかけてくる。
しかし、猫への恐怖心が極限に達したとき、らんまの自我が吹き飛び、猫になりきってしまう」
「ニャオ~ン!と鳴いて、猫みたいな動きを始めるんだよね。
名付けて猫拳。猫拳が出たときのらんまは天下無敵。
そうか、まさしく見立てだね。
自分が猫と同化すれば、恐怖感が消えちゃうという。
正氣に戻ったら、また猫を怖がるけど(笑)」
「らんまのように、自分が恐れているものに同化することで、恐怖心を克服しようとすることは、多くの人がやっている。
不良に殴られた少年が、強くなりたくて、自分も不良化するのは、よくある話」
「若さはバカさだもんね(笑)。真似するモデルは選ばなきゃね」
「そして実際に中国拳法には、虎拳とか蛇拳など、動物の動きを真似た拳法がある。
もちろん、本当に蛇のマネをして戦うわけじゃないんだろうけど、蛇のしなやかさを取り入れることができたのであろう。
一流のアスリートや武術家は、動物の動きを研究している人が多い。
柔道の受け身が、猫の受け身を参考にして開発されたのは有名な話。
塩田剛三という合氣道の達人は、金魚の動きを10年間観察していたという。
せまい金魚鉢の中でぶつからずに泳ぐには、どう背骨を使っているかを眺め続けた。
それが合氣道の上達に大変役立ったとのこと。
篠宮龍三(しのみやりゅうぞう)という、世界トップクラスのフリーダイバーは、ウミヘビの動きが泳ぎの理想形だと言っている。
背骨が完全な円を描き続け、無駄な力を一切使わずに泳ぎ続けているという」
「フリーダイバーって、酸素ボンベを使わない素潜りで、どれだけ深く潜れるかを競うアスリートだよね。
映画『グランブルー』のモデルになった、ジャック・マイヨールが有名だよね」
「篠宮は、『1回のダイブには、生命の進化の歴史が詰まっている』とさえ語っている。
脳は三層構造になっている。まず一番表層の大脳新皮質は、人間に特有の『考える脳』。
複雑な思考や計算を受け持つ」
「大脳新皮質の下の層に、大脳辺縁系があるんだよね。
この脳は『感じる脳』。感情を受け持つ脳。不安や恐怖心を感じるのもこの脳だよね。
犬猫とか、哺乳類もこの脳が発達している。いわば哺乳類脳だね」
「そして最下層に、脳幹や小脳がある。この脳は、生命活動の根本を司っている一番古い脳。
爬虫類(はちゅうるい)脳と言っていい。
世界トップクラスのダイバーは、120メートル以上の深海に潜っていく。
脳が一番酸素を消費するので、脳を省エネモードにしないと対応できない。
まず考える脳である、大脳新皮質のスイッチを切っていく。
恐怖心や不安も、酸素を著しく消耗するので、感じる脳=大脳辺縁系のスイッチを切る。
すると最後には生命を保つ爬虫類脳だけが活動することになる。
もちろん、意識して脳のスイッチが切れるわけではなく、長年の訓練で、身体が自然にそういうモードになっていくとのこと」
「深く潜っていくプロセスで、ヒトから哺乳類、爬虫類へと進化の歴史を逆にたどっていくわけか」
「100メートルを超えた深度では、水の透明度があがり、上も下も横も、どこまでも青いグランブルーが広がっている世界だという。
やがて水面に向かって浮上し、酸素のある世界に帰ってくる。爬虫類からヒトまでの進化をたどりなおすようなもの」
「う~ん、1回のダイブが、そのまま瞑想になっていると言っていいかも?」
「チンパンも先日のイメージングの誘導に、このイメージを活用させてもらった。
青い海の底にどこまでも深く潜っていき、身体が水と同化して、柔らかく自由になったイメージを持つ。
そして海面に浮上して行き、新しい自分に生まれ変わるところまでを誘導した」
「なんでもイメージングの参考になるってことか」
「篠宮のエピソードからもう一つ学べるのは、呼吸の重要性。
潜在能力開発の研究者には、息を止める訓練を薦める人がいる。
なぜそんなことが?と思ったけど、篠宮のエピソードを知って少し納得できた。
つまり酸素供給を絶つことで、深層部の爬虫類脳=生きる脳が活発になるからではないか?ということ」
「現代人は、考える脳が出しゃばりすぎて、感じる脳や生きる脳の活動が弱くなっているもんね。
だから自殺とか変な病氣が多い。
体操やイメージングも、大脳新皮質の働きを一時的に弱らせて、生きる脳を活性化するのが狙いだし。
同じ原理なのかもね」
「ただし呼吸法は禁断の実でもあるので、無茶は禁物。
健康法でいいなら、1分止めるくらいで十分。
イメージングや瞑想も、あまりのめりこみすぎると、右脳バカになってしまう」
「左脳が思考や理性、右脳がイメージ。
あまりにも左脳にがんじがらめになっていると、変にまじめで生きづらい人生になっちゃう。
だから右脳を活性化することでバランスが取れるんだよね。
でも、イメージの世界で遊んだあとは、左脳の世界に戻ってこなきゃダメだよね」
「そのとおり。夢の国・東京デイズニーランドも、いわば右脳の世界。
大人がミッキーマウスの帽子をかぶっていても、誰も変だと思わない。
しかし、デイズニーランドを出た後も、かぶりっぱなしだとまずい」
「舞浜駅あたりまでなら、まだいいけど、そのまま東京駅までかぶってたら、ただのおかしな人だよ(笑)。
右脳の世界に行きっぱなしの人は、それと同じだよね。
そういうタイプは、まじめに左脳の世界で生きている人を馬鹿にし始め、やがてトラブルを引き起こしちゃうもんね」
「中島敦という作家が、『狐憑(きつねつき)』という短編を書いている。
スキタイ族(古代、ロシア南部に住んでいた遊牧民)のシャクと言う男に、ある日憑物が着いた。
急にトランス状態になって、鳥や狼の霊が乗り移り、自分たちの生活をイキイキと物語り始めた。
人々は珍しがって、シャクの話に聴きふけった」
「それって、本当に動物の霊がついたの?それとも変性意識に入ったシャクの創作なの?」
「小説の書きっぷりだと、おそらく後者。
しかし、シャクも自分自身を完全にコントロールしきれない。
物語の世界にのめり込むほど、働き者だったシャクが日がな1日ボンヤリするようになった」
「右脳バカの世界に入っちゃったわけか」
「貧しい古代社会では、怠け者を養っておく余裕はない。
でも、みんなシャクの話を聴きたいので、仕方なく食糧を分け与えていた。
ところが、ある日突然シャクの憑物が落ちてしまった。
シャクの物語は、以前聞いた話の反復ばかりで、精彩を欠いたものばかり。
それでもシャクのボンヤリ癖だけは治らず、働こうとしなかった。
とうとうシャクは仲間たちに殺され、食べられてしまう。古代社会では、人間も貴重な蛋白質資源だった。
中島敦は『ホメロスよりも遥か昔に、こうして一人の詩人が食べられてしまったことを、誰も知らない』と結んでいる」
「チンパン君も、マンガばかり読んでいる訳じゃないんだね。偉い、エライ(笑)。
でも『狐憑』からは、右脳だけに頼って生きる危険性が分かるよね。
現代だって、売れっ子アーチストが、突然インスピレーションが湧かなくなって、消えちゃう例はいっぱいあるもんね」
「イメージ力を高めれば、頭もよくなる。
人間は好きな食べ物や、人物を想い出す時、文章よりもそのイメージがパッと頭に出てくる」
「確かに。イメージで記憶しているってことか」
「昨日の夕食に何を食べたか?一昨日は・・・・?と遡っていくことが、立派なボケ防止になる。
想い出せない人ほど拙い」
「職場や学校への通勤・通学ルートなども、頭の中で鮮明に再現できるほど、頭が良くなるって、古久澤先生はおっしゃっているよね。
道を歩く自分の右側にどんな光景が見えたか?左側はどうだったのか・・・・?
区別してハッキリ想い出せるほどいいって。これも立派なイメージングだよね。
上手になるほど、スポーツや武道、芸道、仕事の上達も早くなるらしいし。
そういえばチンパン君も、古久澤先生の授業は、かなり忠実に記録・再現しているよね。
レッスン中、余り克明にメモを取ってる様子もないけど」
「教室からの帰り道に、頭の中で内容を再現していく。
家に帰ってから、忘れないうちにノートやパソコンに記録する」
「そのイメージ能力が仕事や日常生活に余り発揮されている様子が無いのはなぜ(笑)?
興味が無いから?」
「おそらく(笑)。きっと必要を感じたら、同じように出来ると思う。
毎度おなじみの料理マンガ『味いちもんめ』には、50年前の想い出の味を再現するエピソードが出てくる」
「50年前!?」
「戦後50周年の、95年に描かれたエピソード。
主人公・伊橋が働く料亭『藤村』に常連客の社長さんたちが、『できるだけ不味いスイトンをつくって欲しい』と親方=親父さんに頼みに来た」
「なんで、そんなケッタイな注文を?」
「当時、終戦時の悲惨な時代を忘れないようにしようという趣旨で、学校給食にスイトンが出されるイベントがあった。
ところが、そのスイトンが上手いのなんの。当時だったらありえないような贅沢な具と、調味料をふんだんに使っていた。
小学生は美味しい、美味しいと、何杯もお代わりする始末だった。
それを知った社長さんたちは、『これではいけない。あの頃の不味いスイトンを再現し、後世に伝えなくては』と決意したのだった」
「でも不味いスイトンなら、親父さんに頼まなくてもいいんじゃない?」
「社長さんが言うには、『ただ不味いのではなく、懐かしさも感じられる味が欲しい。そんな味が出せるのは、親父さんしかいない』とのことだった。
その意を組んだ親父さんは、スイトンつくりに取り掛かった。苦労して当時の材料を集め、不味いスイトンを再現した。
伊橋たちが食べてみると、何とも言えない不味さだった」
「社長さんたちの反応は?」
「スイトンを一口すすった社長さんは、『これだ、この味だ!』と目を輝かせた。
やがて社長さんたちの脳裏に、戦後50年間の出来事が走馬灯のように甦った」
「映画『三丁目の夕日』のようなイメージが再現されたわけだね」
「万感胸に迫り、不覚にも涙をこぼす社長さんも居た。
スイトン食事会は、大成功のうちに幕を閉じたのであった」
「名人級の料理人はすごいね~。50年前の記憶の味を、忠実に再現して、涙をこぼさせちゃうんだから」
「板場に戻った伊橋たちも、そう言って親父さんを讃えた。
しかし、親父さんは『忠実に再現した訳じゃない』と答えた」
「え~っ、どういうこと?」
「いぶかしむ伊橋に、『これを食べてみろ』と、親父さんは別の鍋に入ったスイトンを薦めた。
それは喉を通らないほど、すさまじい味だった。
驚く伊橋に、『当時の味を忠実に再現すればそうなる』と親父さんは言った。
『けれど50年も経てば、想い出も美化される。
今日のスイトンは、その想い出分、味付けしてある』
とのことであった」
「なるほど~。過去はその人の内部、脳内空間に存在しているってわけか。
事実そのものじゃなく、イメージ・解釈として残っているんだね。
だからその人の現在が変われば、過去(の意味)も変わっちゃう。
過去のトラウマからの脱却のヒントにもなるエピソードかも?」
「名人の秘密をかいまみせてくれるエピソードでもある。
名人(の料理人)も、それで生計を立てている以上、素人でも自分の腕のすごさが分かるように技を使う。
しかし、スイトンの想い出分の味付けのような、憎い一工夫については、隠し味のようにして使う。
素人はもちろん、並みのプロでは、技を使っていることさえ悟らせない。
伊橋たちのような、長年身近で学んでいる、内弟子のような存在にだけ、真実をさりげなく伝える」
「それが口伝(くでん)ってことだね。
こんなことは、どんな料理の本にも載ってないし、インターネットで検索しても出てこないもんね。
生身の先生に就いて、体得して行くしかないってことか。ただの情報じゃいかんってことだね」
「イメージングも単なる知識・情報だけでなく、体得しないと役立たない。
チンパン基礎クラスでも、今後も積極的にイメージングを取り入れて行きたいと想っています。
相談者さんもイメージングに取り組んで、セルフイメージを高めて行くことを願っています」
「今回は写真がなくて文章ばっかりでしたが、イメージングは外から見ていると寝ているだけの写真ばかりになるので、悪しからずご了承ください~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は丸くなってオネンネしながら、夢を見ているボクです。
犬も夢を見るんです。夢もまたイメージング。
イメージングの修行が進んでいくと、夢を自由に見る訓練なども行うらしいです。
ボクは大好きなササミをたらふく食べる夢を見たいワン!
つづく
何がまずいんでしょうか?
しあわせが逃げて行く女」
「きっと相談者さんは、『セルフイメージ』に問題があるんだろうね。
セルフイメージとは、『私はこういう人間だ』って言う自分像。
『成功できない私』『失敗する私』というセルフイメージを持っていると、無意識にそれにふさわしい行動を取っちゃう」
「人間は、自分のセルフイメージ以上の生き方は出来ない。
たとえば、成績が低空飛行の学生は、たまたまテストでいい点を取っても、それが持続しないことが多い。
『自分は勉強が出来ないんだ、頭が悪いんだ』というセルフイメージが消えないため。
ダイエットしてもリバウンドするのも、『太っている私』のセルフイメージに縛られているから。
人間同士を比較したとき、肉体的にはそれほど巨大な差はない」
「どんな大男でも、身長10メートルの人なんか居ないもんね。
でも、巨万の富を稼いだり、社会に大きく貢献する仕事をする人も居れば、貧しくてパッとしないまんま一生を終える人も居るのは、セルフイメージが違うから?」
「そのとおり。イメージ力が人生に大きな差をつけるということ。
しかし、大人になると、セルフイメージもイメージ力もそうそう変わらない。
ブリージングストレッチは、そこを突破するために、『イメージング』=一種の瞑想 を取り入れている。
スポーツ界で積極的に取り入れられている、メンタルトレーニングも、イメージングに入る」
古久澤先生のメルマガとブログに学んで、イメージ力を高めよう!
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「そもそもブリージングは、呼吸とイメージングに引っ掛けた言葉だもんね。
体操で身体をほぐし整えた後は、呼吸法をやって、最後にイメージングで締めるのが基本の全プロセス。
古久澤先生も、
『ブリージングの指導員だったら、一種類くらいはイメージングの誘導が出来るようになって欲しい』
っておっしゃているもんね。
チンパン君も、先日のチンパン基礎クラスでイメージングを初めて誘導してたし。
ところで、なんでイメージングがセルフイメージの書き換えに役立つの?」
「頭が固い人、性格が頑固な人ほど、セルフイメージを変えることが難しい。
文字通り『固い』から。イメージングは固い頭と心を緩めてくれる。
イメージングの誘導は、仰向けに寝た生徒に、『手足がポカポカ暖かい、重たい』『お腹が暖かい』などと実感させることから始まる。一種のリラクゼーション」
「でも、訓練していない人は、『手が暖かくなった』って言われても、なかなか実感できないよね。
だから体操の後でイメージングに入ると効くんだよね。
既に身体の緊張がある程度取れて、手足の血行が良くなっているもんね。
そこに『手足が暖かい』って言われると、『あっ、本当だ・・・・』ってなっちゃう」
「だから指導者の言葉を信頼し始める。
それでなくてもストレッチによって脳の緊張が取れ始め、変性意識モード=一種の催眠状態 に入りやすくなっている。
固いセルフイメージも溶け出した氷のように緩み始めている。
ここに色んな暗示を入れると、セルフイメージを書き換えられる。
この原理を悪用すると『洗脳』になる」
「一番無難なのは、『私は日に日に あらゆる面で ますます 良くなっている』っていうアファメーションを入れることだよね。
副作用も反応もないし、健康も仕事も人間関係も金運も、文字通りあらゆる面がよくなっていくから。
でもイメージングの初心者は、アファメーションを入れる前に寝ちゃう場合もあるじゃん。
それでも効いているの?」
「寝てしまうのは、リラックスできている証拠だからOK。
チンパンは緊張が強いタイプだったので、初めのころは全然眠くならず、イメージングは退屈だった。
でも体操を続けているうちに、眠れるようになった。
半覚半睡の状態でも、耳は言葉を拾っている。
もし完全に熟睡してしまったとしても、健康効果はある。
昔、ブリージングの生徒さんにパチンコ屋の店員が居たという。
徹夜明けで教室に来て、イメージングで短時間熟睡する。
それですっかり疲れが取れるので、その日1日遊べると喜んでいたそうである」
「睡眠って、質が大事だもんね。
浅い眠りを長時間ダラダラ取ると、かえってだるくなる場合もあるくらい。
眠りが浅いのは、脳と身体の緊張を引きずったまま寝るからだもんね。
体操で心身を緩め、イメージング=リラクゼーションして眠れば、短時間睡眠でリフレッシュできるってわけか。
納得」
「もちろん、リラクゼーションはイメージングの導入に過ぎない。
その先に雨の音や、時計の針の音をずっと聞いている瞑想や、鳥になって空を飛ぶイメージングなど色んなやり方がある。
イメージングという言葉を知らなくても、イメージングの原理を活用している人は多い。
ボクサーが行うシャドーボクシングもそのひとつ。
シャドーボクシングは、相手を影=シャドーとして仮想し、実際に戦っているイメージで一人で動く。
もちろん相手のパンチを全部よけて、自分のパンチが全部当たったというイメージで行う。
強いボクサーほど、鮮明なイメージを持ったシャドーが出来る」
「自分がやられているところをイメージするシャドーボクシングなんかないもんね(笑)。
でも、実人生では、知らず知らずのうちに、自分が失敗するところをイメージして行動し勝ち。
それが成功できない大きな原因だよね。相談者さんも同じだよ」
「人間はセルフイメージを自由に描けるけど、その原点は誰かのマネ。
自分の親や家族、友人、先輩のマネをしながら、だんだんとその人なりのセルフイメージが形作られていった」
「確かに、子どもは物まねが大好きだもんね。
男の子だったら、ウルトラマンごっこや仮面ライダーごっこ。
女の子だったら、ままごと遊びが典型。
大人の癖も、すぐマネしちゃうし」
「だから大人になってから、セルフイメージをつくり変えたかったら、また物まねすればいい。
それが氣功で言う見立て(みたて)。
役者は、自分以外の色んな人間になり切るのが仕事。
しかし、氣功の場合は、動物や植物、空に浮かぶ雲や、石など人間以外の存在にもなり切ろうとする」
「ヨガのポーズも同じだよね。猫のポーズとか、犬のポーズとか、椅子のポーズとかあるもんね。
それでセルフイメージが変わるの?」
「私は私だ!というセルフイメージにしがみついている間は、自分を外側から眺められない。
つまり盲点だらけ。
自分以外、人間以外の存在になり切ることで、自分を客観視できる。
セルフイメージの壁も越えられる。
『らんま1/2』というマンガがある。主人公の早乙女らんまは、中国拳法の使い手で、とても強い。
しかし、怖いもの=弱点を抱えている」
「らんまは猫が怖いんだよね(笑)。
父親の無茶な修行の後遺症で、猫を見ると腰を抜かすほど怯えちゃう」
「その弱点を知ったライバルたちは、らんまに猫をけしかけてくる。
しかし、猫への恐怖心が極限に達したとき、らんまの自我が吹き飛び、猫になりきってしまう」
「ニャオ~ン!と鳴いて、猫みたいな動きを始めるんだよね。
名付けて猫拳。猫拳が出たときのらんまは天下無敵。
そうか、まさしく見立てだね。
自分が猫と同化すれば、恐怖感が消えちゃうという。
正氣に戻ったら、また猫を怖がるけど(笑)」
「らんまのように、自分が恐れているものに同化することで、恐怖心を克服しようとすることは、多くの人がやっている。
不良に殴られた少年が、強くなりたくて、自分も不良化するのは、よくある話」
「若さはバカさだもんね(笑)。真似するモデルは選ばなきゃね」
「そして実際に中国拳法には、虎拳とか蛇拳など、動物の動きを真似た拳法がある。
もちろん、本当に蛇のマネをして戦うわけじゃないんだろうけど、蛇のしなやかさを取り入れることができたのであろう。
一流のアスリートや武術家は、動物の動きを研究している人が多い。
柔道の受け身が、猫の受け身を参考にして開発されたのは有名な話。
塩田剛三という合氣道の達人は、金魚の動きを10年間観察していたという。
せまい金魚鉢の中でぶつからずに泳ぐには、どう背骨を使っているかを眺め続けた。
それが合氣道の上達に大変役立ったとのこと。
篠宮龍三(しのみやりゅうぞう)という、世界トップクラスのフリーダイバーは、ウミヘビの動きが泳ぎの理想形だと言っている。
背骨が完全な円を描き続け、無駄な力を一切使わずに泳ぎ続けているという」
「フリーダイバーって、酸素ボンベを使わない素潜りで、どれだけ深く潜れるかを競うアスリートだよね。
映画『グランブルー』のモデルになった、ジャック・マイヨールが有名だよね」
「篠宮は、『1回のダイブには、生命の進化の歴史が詰まっている』とさえ語っている。
脳は三層構造になっている。まず一番表層の大脳新皮質は、人間に特有の『考える脳』。
複雑な思考や計算を受け持つ」
「大脳新皮質の下の層に、大脳辺縁系があるんだよね。
この脳は『感じる脳』。感情を受け持つ脳。不安や恐怖心を感じるのもこの脳だよね。
犬猫とか、哺乳類もこの脳が発達している。いわば哺乳類脳だね」
「そして最下層に、脳幹や小脳がある。この脳は、生命活動の根本を司っている一番古い脳。
爬虫類(はちゅうるい)脳と言っていい。
世界トップクラスのダイバーは、120メートル以上の深海に潜っていく。
脳が一番酸素を消費するので、脳を省エネモードにしないと対応できない。
まず考える脳である、大脳新皮質のスイッチを切っていく。
恐怖心や不安も、酸素を著しく消耗するので、感じる脳=大脳辺縁系のスイッチを切る。
すると最後には生命を保つ爬虫類脳だけが活動することになる。
もちろん、意識して脳のスイッチが切れるわけではなく、長年の訓練で、身体が自然にそういうモードになっていくとのこと」
「深く潜っていくプロセスで、ヒトから哺乳類、爬虫類へと進化の歴史を逆にたどっていくわけか」
「100メートルを超えた深度では、水の透明度があがり、上も下も横も、どこまでも青いグランブルーが広がっている世界だという。
やがて水面に向かって浮上し、酸素のある世界に帰ってくる。爬虫類からヒトまでの進化をたどりなおすようなもの」
「う~ん、1回のダイブが、そのまま瞑想になっていると言っていいかも?」
「チンパンも先日のイメージングの誘導に、このイメージを活用させてもらった。
青い海の底にどこまでも深く潜っていき、身体が水と同化して、柔らかく自由になったイメージを持つ。
そして海面に浮上して行き、新しい自分に生まれ変わるところまでを誘導した」
「なんでもイメージングの参考になるってことか」
「篠宮のエピソードからもう一つ学べるのは、呼吸の重要性。
潜在能力開発の研究者には、息を止める訓練を薦める人がいる。
なぜそんなことが?と思ったけど、篠宮のエピソードを知って少し納得できた。
つまり酸素供給を絶つことで、深層部の爬虫類脳=生きる脳が活発になるからではないか?ということ」
「現代人は、考える脳が出しゃばりすぎて、感じる脳や生きる脳の活動が弱くなっているもんね。
だから自殺とか変な病氣が多い。
体操やイメージングも、大脳新皮質の働きを一時的に弱らせて、生きる脳を活性化するのが狙いだし。
同じ原理なのかもね」
「ただし呼吸法は禁断の実でもあるので、無茶は禁物。
健康法でいいなら、1分止めるくらいで十分。
イメージングや瞑想も、あまりのめりこみすぎると、右脳バカになってしまう」
「左脳が思考や理性、右脳がイメージ。
あまりにも左脳にがんじがらめになっていると、変にまじめで生きづらい人生になっちゃう。
だから右脳を活性化することでバランスが取れるんだよね。
でも、イメージの世界で遊んだあとは、左脳の世界に戻ってこなきゃダメだよね」
「そのとおり。夢の国・東京デイズニーランドも、いわば右脳の世界。
大人がミッキーマウスの帽子をかぶっていても、誰も変だと思わない。
しかし、デイズニーランドを出た後も、かぶりっぱなしだとまずい」
「舞浜駅あたりまでなら、まだいいけど、そのまま東京駅までかぶってたら、ただのおかしな人だよ(笑)。
右脳の世界に行きっぱなしの人は、それと同じだよね。
そういうタイプは、まじめに左脳の世界で生きている人を馬鹿にし始め、やがてトラブルを引き起こしちゃうもんね」
「中島敦という作家が、『狐憑(きつねつき)』という短編を書いている。
スキタイ族(古代、ロシア南部に住んでいた遊牧民)のシャクと言う男に、ある日憑物が着いた。
急にトランス状態になって、鳥や狼の霊が乗り移り、自分たちの生活をイキイキと物語り始めた。
人々は珍しがって、シャクの話に聴きふけった」
「それって、本当に動物の霊がついたの?それとも変性意識に入ったシャクの創作なの?」
「小説の書きっぷりだと、おそらく後者。
しかし、シャクも自分自身を完全にコントロールしきれない。
物語の世界にのめり込むほど、働き者だったシャクが日がな1日ボンヤリするようになった」
「右脳バカの世界に入っちゃったわけか」
「貧しい古代社会では、怠け者を養っておく余裕はない。
でも、みんなシャクの話を聴きたいので、仕方なく食糧を分け与えていた。
ところが、ある日突然シャクの憑物が落ちてしまった。
シャクの物語は、以前聞いた話の反復ばかりで、精彩を欠いたものばかり。
それでもシャクのボンヤリ癖だけは治らず、働こうとしなかった。
とうとうシャクは仲間たちに殺され、食べられてしまう。古代社会では、人間も貴重な蛋白質資源だった。
中島敦は『ホメロスよりも遥か昔に、こうして一人の詩人が食べられてしまったことを、誰も知らない』と結んでいる」
「チンパン君も、マンガばかり読んでいる訳じゃないんだね。偉い、エライ(笑)。
でも『狐憑』からは、右脳だけに頼って生きる危険性が分かるよね。
現代だって、売れっ子アーチストが、突然インスピレーションが湧かなくなって、消えちゃう例はいっぱいあるもんね」
「イメージ力を高めれば、頭もよくなる。
人間は好きな食べ物や、人物を想い出す時、文章よりもそのイメージがパッと頭に出てくる」
「確かに。イメージで記憶しているってことか」
「昨日の夕食に何を食べたか?一昨日は・・・・?と遡っていくことが、立派なボケ防止になる。
想い出せない人ほど拙い」
「職場や学校への通勤・通学ルートなども、頭の中で鮮明に再現できるほど、頭が良くなるって、古久澤先生はおっしゃっているよね。
道を歩く自分の右側にどんな光景が見えたか?左側はどうだったのか・・・・?
区別してハッキリ想い出せるほどいいって。これも立派なイメージングだよね。
上手になるほど、スポーツや武道、芸道、仕事の上達も早くなるらしいし。
そういえばチンパン君も、古久澤先生の授業は、かなり忠実に記録・再現しているよね。
レッスン中、余り克明にメモを取ってる様子もないけど」
「教室からの帰り道に、頭の中で内容を再現していく。
家に帰ってから、忘れないうちにノートやパソコンに記録する」
「そのイメージ能力が仕事や日常生活に余り発揮されている様子が無いのはなぜ(笑)?
興味が無いから?」
「おそらく(笑)。きっと必要を感じたら、同じように出来ると思う。
毎度おなじみの料理マンガ『味いちもんめ』には、50年前の想い出の味を再現するエピソードが出てくる」
「50年前!?」
「戦後50周年の、95年に描かれたエピソード。
主人公・伊橋が働く料亭『藤村』に常連客の社長さんたちが、『できるだけ不味いスイトンをつくって欲しい』と親方=親父さんに頼みに来た」
「なんで、そんなケッタイな注文を?」
「当時、終戦時の悲惨な時代を忘れないようにしようという趣旨で、学校給食にスイトンが出されるイベントがあった。
ところが、そのスイトンが上手いのなんの。当時だったらありえないような贅沢な具と、調味料をふんだんに使っていた。
小学生は美味しい、美味しいと、何杯もお代わりする始末だった。
それを知った社長さんたちは、『これではいけない。あの頃の不味いスイトンを再現し、後世に伝えなくては』と決意したのだった」
「でも不味いスイトンなら、親父さんに頼まなくてもいいんじゃない?」
「社長さんが言うには、『ただ不味いのではなく、懐かしさも感じられる味が欲しい。そんな味が出せるのは、親父さんしかいない』とのことだった。
その意を組んだ親父さんは、スイトンつくりに取り掛かった。苦労して当時の材料を集め、不味いスイトンを再現した。
伊橋たちが食べてみると、何とも言えない不味さだった」
「社長さんたちの反応は?」
「スイトンを一口すすった社長さんは、『これだ、この味だ!』と目を輝かせた。
やがて社長さんたちの脳裏に、戦後50年間の出来事が走馬灯のように甦った」
「映画『三丁目の夕日』のようなイメージが再現されたわけだね」
「万感胸に迫り、不覚にも涙をこぼす社長さんも居た。
スイトン食事会は、大成功のうちに幕を閉じたのであった」
「名人級の料理人はすごいね~。50年前の記憶の味を、忠実に再現して、涙をこぼさせちゃうんだから」
「板場に戻った伊橋たちも、そう言って親父さんを讃えた。
しかし、親父さんは『忠実に再現した訳じゃない』と答えた」
「え~っ、どういうこと?」
「いぶかしむ伊橋に、『これを食べてみろ』と、親父さんは別の鍋に入ったスイトンを薦めた。
それは喉を通らないほど、すさまじい味だった。
驚く伊橋に、『当時の味を忠実に再現すればそうなる』と親父さんは言った。
『けれど50年も経てば、想い出も美化される。
今日のスイトンは、その想い出分、味付けしてある』
とのことであった」
「なるほど~。過去はその人の内部、脳内空間に存在しているってわけか。
事実そのものじゃなく、イメージ・解釈として残っているんだね。
だからその人の現在が変われば、過去(の意味)も変わっちゃう。
過去のトラウマからの脱却のヒントにもなるエピソードかも?」
「名人の秘密をかいまみせてくれるエピソードでもある。
名人(の料理人)も、それで生計を立てている以上、素人でも自分の腕のすごさが分かるように技を使う。
しかし、スイトンの想い出分の味付けのような、憎い一工夫については、隠し味のようにして使う。
素人はもちろん、並みのプロでは、技を使っていることさえ悟らせない。
伊橋たちのような、長年身近で学んでいる、内弟子のような存在にだけ、真実をさりげなく伝える」
「それが口伝(くでん)ってことだね。
こんなことは、どんな料理の本にも載ってないし、インターネットで検索しても出てこないもんね。
生身の先生に就いて、体得して行くしかないってことか。ただの情報じゃいかんってことだね」
「イメージングも単なる知識・情報だけでなく、体得しないと役立たない。
チンパン基礎クラスでも、今後も積極的にイメージングを取り入れて行きたいと想っています。
相談者さんもイメージングに取り組んで、セルフイメージを高めて行くことを願っています」
「今回は写真がなくて文章ばっかりでしたが、イメージングは外から見ていると寝ているだけの写真ばかりになるので、悪しからずご了承ください~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真は丸くなってオネンネしながら、夢を見ているボクです。
犬も夢を見るんです。夢もまたイメージング。
イメージングの修行が進んでいくと、夢を自由に見る訓練なども行うらしいです。
ボクは大好きなササミをたらふく食べる夢を見たいワン!
つづく
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