仙骨は神秘の骨
- 2015/05/03
- 08:00
「最近、何をやっても空回りで上手く行きません。
思い起こせば、今年の大雪の日に転んで、派手に尻もちをついて以来です。
生理も不順になりました。
精神的にも不安定で、激しく興奮したり、すごく落ち込んだりします。
私の身体はどうなってしまったのでしょうか?
空回りの螺旋(らせん)」
「『尻もち一つで、運命・人生が変わる人も居る』って、古久澤先生はおっしゃっているよね」
「そのとおり。
整体的に観ると、尻もちで仙腸関節(せんちょうかんせつ)がずれる場合があるからである」
「骨盤を背中側から見ると、逆三角形で8つの穴が開いた骨=仙骨(せんこつ)を、左右からハート型の腸骨(ちょうこつ)が挟んでいるよね。
それが仙腸関節」

「仙腸関節は、股関節や肩関節みたいにジョイントも無く、ただ挟んでいるだけなので、ちょっとしたショックでずれやすい。
相談者さんが、どちらのお尻で尻もちをついたのか知らないが、その時に、左右の仙腸関節にアンバランスが生じた可能性が高い」
「仙腸関節がずれたってことは、仙骨の向きが歪んだってことじゃん。
それって拙くない?」
「大いに拙い。仙骨は背骨の下に存在する骨。いわば背骨の土台。かつ骨格の要でもある。
人間のあらゆる動きは、背骨の動きから発する。
しかし、その背骨の動きの出発点が、実は仙骨。
もし仙骨で力のベクトルが1ミリずれたとすると、背骨を経て、手足=末端に達するときには、数十センチのズレになってもおかしくない」
「脳はその補正に手一杯だよね。そりゃあ、相談者さんが何をやっても、空回りになる訳だわ。
生理が不順になったのも、仙腸関節がずれたから?」
「いかにも。
生理とは、骨盤の開閉運動そのもの。仙腸関節が緩んだときに、骨盤が開いて生理になる。
そして仙腸関節が締まった時に、生理が終わる。
だから仙腸関節の動きに左右差が生じたら、生理不順になっても、何の不思議もない。
生理に限らず、仙骨の歪み・ズレは健康法上も望ましくない。
仙骨には、上からは背骨の重みがかかり、下からは両足からの地を踏む反動が返ってくる」
「いわば仙骨は、力の合流点って訳か。
その仙骨に歪みがあったら、全身に歪んだ力の台風がまき散らされちゃうようなもの?
全身の骨格に歪みが生じるかも。
骨格が歪めば、神経の働きや、血流も妨げられる。
体調も悪くなるし、精神的にも不安定になっちゃうじゃん」
「それだけではない。仙骨の状態は運にも影響する。
古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』の126~127Pに、『うつ伏せになった人の仙骨の上にモノを置くと、自分との相性が分かる』ということが書かれている」
「まずうつ伏せになった人の踵をそろえる。
次に仙骨の上にモノを置いて、その人と相性が悪いモノだったら、そろえた踵がだんだんずれて行っちゃう。
反対に相性がいいモノだったら、最初はずれていた踵もそろって来るんだよね」
「つまり身体=仙骨は全てを知っているということ。本にはサラッと書いてあるけど、かなり重要なメソッド。
頭で判断に迷った時は、仙骨に尋ねれば答えが分かるということだから」
「ヨガでも仙骨には、クンダリーニという蛇が棲んでいるって教えるんでしょ?やっぱり神秘の骨だね」
「天地の力=氣が合流する骨が仙骨と言ってもいい。その仙骨がずれたら、運命が狂ってくるのも当然。
反対に、仙腸関節への衝撃で運命が好転する場合もある。
成島竜(なるしま りゅう)という空手家は、先天的に関節が柔らかく、上段回し蹴りを得意としていた。
しかし、長年の選手生活で膝を痛めてしまった」
「いわゆるルーズジョイントってヤツか。
関節が動きすぎると、身体に不自然な負担がかかって、故障が出ちゃもんね」
「成島はあらゆる治療法を試したが、膝は全然良くならない。世界大会を翌年に控えて、ユウウツな日々を送っていた。
そんなある日、成島がたまたま乗ったタクシーが、追突事故に遭った」
「そりゃ災難」
「しかし、その事故をキッカケに、何をやっても良くならなかった膝が、奇跡的に回復したと言う。
翌年の世界大会に出場した成島は、軽量ながら海外の巨漢を向こうに回して、ベストエイトに入賞する大活躍を果たした。
医者も本人も、回復の理由が分からなかったが、追突の衝撃で、仙腸関節のズレが修正された可能性は十分ある」
「断じて行う者には、天は加護をくれるってことかも。
でもそれって、股関節からも説明出来るんじゃないの?
骨盤のお腹側にある股関節って、骨盤の背中側にある仙腸関節とシーソー関係にあるもん」
「古久澤先生も深く研究された、礒谷式(いそがいしき)力学療法は、股関節の歪みが万病の元だと考える整体。
礒谷式の文献にも、転んだはずみに股関節が正しい位置に入って、長年の坐骨神経痛が消えた人などの例が紹介されている」
「股関節のポジションが良くなれば、膝や腰に無理な負担がかからなくなるもんね」
「そのとおり。いっぽう、仙腸関節を整えれば、全て良くなると主張する整体師もいる。
どちらが正しいかということではなく、アプローチの仕方が違うだけ」
古久澤先生のメルマガとブログには、身体についての深い知見が満載。
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「なるほどね~。
でもさ、転んだりぶつかったりで、身体や運が良くなったり悪くなったりするんじゃ、余りにも頼りなくない?
全部、運任せってことじゃん」
「確かに。偶然には再現性がない。
成島竜も、世界大会が終わった後は、再び膝が悪化し、引退した。
だから一見バラバラに見える多くの現象の底に横たわる、規則性を見つけることが必要。
そうすれば、いつでも、どこでも、誰がやっても、同じような結果を得ることが出来るようになる。
再現性を持つのが技というもの」
「整体のテクニックも技だもんね。
仙腸関節のズレを整える体操は無いの?」
「いっぱいある。ブリージングストレッチの基本にも存在している。
仰向けに寝て、両膝を左側の床に倒す。
続いて右膝だけ戻して立てる。左足だけが胡坐の状態になる。
その姿勢で左膝で床を押す。

左の仙腸関節が締まる。
もっと強烈に締めたい人は、右足を天井に上げる。武道の蹴りを強化する稽古にもなる」

「大抵の人は、この体操は、左右でやりやすさが違うもんね。
やりにくい側の仙腸関節が歪んでるってこと。だからやりにくい側を多めにやると修正になっちゃう。
左右の仙腸関節が五分に締まった状態になったら、両手で足首をつかんで、仙骨を上下にバウンドさせると、更に仙骨が締まっちゃう。

仙腸関節のいい状態もキープされるから、不順な生理も整いやすくなるよね。
ブリッジの後は、開脚も開きやすくなるし。
仙腸関節と股関節がシーソー関係にある証拠だよね=仙腸関節が締まると、股関節が開く」
「初心者には、ブリッジのバウンドは『お尻を持ち上げて引き締めましょう』と誘導するが、本当は仙骨を骨盤に深く入れている。
仙骨が入ると、骨盤が締まる。
すると強いパワーが出せる。集中力も高まって、本来その人が持つ能力が発揮される。
古久澤先生の師・伊藤昇先生は、『胴体が余り動かない人でも、仙骨さえ締められれば、ある程度のレベルまで行ける』と著書『スーパーボディを読む』に書かれている。
そのくらい仙骨は重要だということ。
クジャクのポーズをやっている、写真の男性は60代。


仙骨を締めることで、床から身体を浮かせた状態をキープしている」
「筋力に頼るんじゃなくて、骨を使えれば、加齢と共に動きの質は衰えるどころか、高まって行くってことだね。
伊藤先生の、『身体のピークは60代』と言う主張の一つの証明になるよね。
ヨガの弓のポーズとかも、仙骨を引き締めるのが目的の一つだもんね。
上手な人がやると、仙骨の部分だけポコッと引っ込むって言うし。
基本の『雑巾がけ』も、仙骨が締まって入った状態を創ってくれちゃう。

あとは屈伸?」
「屈伸は沈んだときは仙骨が緩み、上がった時に仙骨が締まる。いわば仙骨に振幅性をつけてくれる。
その振幅性をバツグンにつけてくれるのが正座屈伸。
やり方は簡単。正座から膝立ちになる。この時に仙骨が締まる。

正座に戻るときは股関節で体重をキャッチ。股関節の捉えがよくなる。

自分の足の長さの左右差が分かっている人は、短い側の膝を前にして行うと修正法になる」


「ずっと内腿はくっつけたまま屈伸を反復。
ただ正座屈伸って、膝が床とこすれて痛くならない?」
「膝を保護するためには、布団の上で屈伸するといい。
チンパンも先日試してみたら、500回やっても膝は無事だった。
この屈伸はシンプルだし、結構きついけど、股関節の捉えと、仙骨を締める力を同時に高めてくれる。
屈伸をやった後、正座してパートナーに骨盤を押されても、捉えがいいとビクともしない」

「押す力が、全部股関節に吸収されちゃうからだよね。そのまま股関節を通して地球にアースされちゃう」
「もちろん、体格差がありすぎると、床との摩擦で後ろにスライドして行く場合はある。
それでも正座が崩れなければOK。
押されて後ろに転ぶのは失格。全身で力んで踏ん張って、押し返していると言うことだから。
股関節で捉えた上体から、正座屈伸の要領で膝立ちになると、骨盤を押さえたパートナーを吹っ飛ばすことも可能。

仙骨を締める力は、それだけ強い。
武道やスポーツでドン!と前に出る動きにも活用できる。
新体道(しんたいどう)と言う武道には、反り跳びで何百回・何千回も前にジャンプして行く稽古がある。
やはり仙骨の振幅性を養う。
ただし、反り跳びは膝や足腰に負担がかかるので、年輩の人には相当きつい。
新体道は、単なる勝ち負けではなく、のびのびと心身を開放することも目指す武道。
反り跳びも『新しい世界へ飛び込んで行ける自分を創る』精神的な効果があると言う」
「確かに仙骨が締まると、チャレンジする力もアップするもんね。
人間が本氣になっている時って、必ず仙骨が締まっているから。
仰向けのブリッジで、仙骨を締めながら膝を斜め下に倒していくと、自然に背骨がしなって起き上がれちゃうもんね。



二次元=寝た姿勢から、三次元=起きあがった姿勢への進化と言っていいかも?」
「だからこの起き上がりは、自分の新しい道を切り開いていく力を高めてくれるということ。
ピンチをひっくり返す力も与えてくれる。
仙骨締めの起き上がりは、中級以上の体操だけど、ブリージングの生徒には、出来る人が何人か出てきた」
「『もう身体には出来るだけの条件が備わっているのに、頭でブレーキをかけている人も居る』って、古久澤先生はおっしゃっているよね」
「『こんな難しい動きが、出来るわけない』と本音で想っていると、あと少しの所で、脳がストップをかけてしまう。
仕事や願望実現でも、いい線まで行きながら、結果を出せない人も同じパターンが多い」
「その壁を突破するのは、やっぱりイメージ力?」
「正解。しかし、イメージングについては長くなるのでまた別の機会に触れよう。
また、仙骨を締めっぱなしだと、いつもテンションあがりっぱなしになるので、緩める力も大切=振幅性。
ブリージングメソッドには、仙骨関係のもっと高度で繊細な技がたくさんある。
今回紹介したのは、ほんの一部」
「興味のある人は、ぜひセミナーや一年講座などに参加してくださいね~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真はボクのしっぽのアップです。
人間にはしっぽがありませんが、整体の流派によっては、
『人間の仙骨は、しっぽが進化して、体内に収まったモノだ』
と主張するところもあるようです。
実際に一流のアスリートには、『仙骨からしっぽが伸びている』とイメージして動く人も居るそうです。
すごくバランスよく動けるらしい。
人間の仙骨はやはり特殊な骨で、多くの秘密が隠されているようです。
みなさんも仙骨に意識を向けてください。
身体が変わるキッカケになるかも知れませんよ~。
つづく
思い起こせば、今年の大雪の日に転んで、派手に尻もちをついて以来です。
生理も不順になりました。
精神的にも不安定で、激しく興奮したり、すごく落ち込んだりします。
私の身体はどうなってしまったのでしょうか?
空回りの螺旋(らせん)」
「『尻もち一つで、運命・人生が変わる人も居る』って、古久澤先生はおっしゃっているよね」
「そのとおり。
整体的に観ると、尻もちで仙腸関節(せんちょうかんせつ)がずれる場合があるからである」
「骨盤を背中側から見ると、逆三角形で8つの穴が開いた骨=仙骨(せんこつ)を、左右からハート型の腸骨(ちょうこつ)が挟んでいるよね。
それが仙腸関節」

「仙腸関節は、股関節や肩関節みたいにジョイントも無く、ただ挟んでいるだけなので、ちょっとしたショックでずれやすい。
相談者さんが、どちらのお尻で尻もちをついたのか知らないが、その時に、左右の仙腸関節にアンバランスが生じた可能性が高い」
「仙腸関節がずれたってことは、仙骨の向きが歪んだってことじゃん。
それって拙くない?」
「大いに拙い。仙骨は背骨の下に存在する骨。いわば背骨の土台。かつ骨格の要でもある。
人間のあらゆる動きは、背骨の動きから発する。
しかし、その背骨の動きの出発点が、実は仙骨。
もし仙骨で力のベクトルが1ミリずれたとすると、背骨を経て、手足=末端に達するときには、数十センチのズレになってもおかしくない」
「脳はその補正に手一杯だよね。そりゃあ、相談者さんが何をやっても、空回りになる訳だわ。
生理が不順になったのも、仙腸関節がずれたから?」
「いかにも。
生理とは、骨盤の開閉運動そのもの。仙腸関節が緩んだときに、骨盤が開いて生理になる。
そして仙腸関節が締まった時に、生理が終わる。
だから仙腸関節の動きに左右差が生じたら、生理不順になっても、何の不思議もない。
生理に限らず、仙骨の歪み・ズレは健康法上も望ましくない。
仙骨には、上からは背骨の重みがかかり、下からは両足からの地を踏む反動が返ってくる」
「いわば仙骨は、力の合流点って訳か。
その仙骨に歪みがあったら、全身に歪んだ力の台風がまき散らされちゃうようなもの?
全身の骨格に歪みが生じるかも。
骨格が歪めば、神経の働きや、血流も妨げられる。
体調も悪くなるし、精神的にも不安定になっちゃうじゃん」
「それだけではない。仙骨の状態は運にも影響する。
古久澤先生の著書『しあわせを引き寄せるカラダ』の126~127Pに、『うつ伏せになった人の仙骨の上にモノを置くと、自分との相性が分かる』ということが書かれている」
「まずうつ伏せになった人の踵をそろえる。
次に仙骨の上にモノを置いて、その人と相性が悪いモノだったら、そろえた踵がだんだんずれて行っちゃう。
反対に相性がいいモノだったら、最初はずれていた踵もそろって来るんだよね」
「つまり身体=仙骨は全てを知っているということ。本にはサラッと書いてあるけど、かなり重要なメソッド。
頭で判断に迷った時は、仙骨に尋ねれば答えが分かるということだから」
「ヨガでも仙骨には、クンダリーニという蛇が棲んでいるって教えるんでしょ?やっぱり神秘の骨だね」
「天地の力=氣が合流する骨が仙骨と言ってもいい。その仙骨がずれたら、運命が狂ってくるのも当然。
反対に、仙腸関節への衝撃で運命が好転する場合もある。
成島竜(なるしま りゅう)という空手家は、先天的に関節が柔らかく、上段回し蹴りを得意としていた。
しかし、長年の選手生活で膝を痛めてしまった」
「いわゆるルーズジョイントってヤツか。
関節が動きすぎると、身体に不自然な負担がかかって、故障が出ちゃもんね」
「成島はあらゆる治療法を試したが、膝は全然良くならない。世界大会を翌年に控えて、ユウウツな日々を送っていた。
そんなある日、成島がたまたま乗ったタクシーが、追突事故に遭った」
「そりゃ災難」
「しかし、その事故をキッカケに、何をやっても良くならなかった膝が、奇跡的に回復したと言う。
翌年の世界大会に出場した成島は、軽量ながら海外の巨漢を向こうに回して、ベストエイトに入賞する大活躍を果たした。
医者も本人も、回復の理由が分からなかったが、追突の衝撃で、仙腸関節のズレが修正された可能性は十分ある」
「断じて行う者には、天は加護をくれるってことかも。
でもそれって、股関節からも説明出来るんじゃないの?
骨盤のお腹側にある股関節って、骨盤の背中側にある仙腸関節とシーソー関係にあるもん」
「古久澤先生も深く研究された、礒谷式(いそがいしき)力学療法は、股関節の歪みが万病の元だと考える整体。
礒谷式の文献にも、転んだはずみに股関節が正しい位置に入って、長年の坐骨神経痛が消えた人などの例が紹介されている」
「股関節のポジションが良くなれば、膝や腰に無理な負担がかからなくなるもんね」
「そのとおり。いっぽう、仙腸関節を整えれば、全て良くなると主張する整体師もいる。
どちらが正しいかということではなく、アプローチの仕方が違うだけ」
古久澤先生のメルマガとブログには、身体についての深い知見が満載。
「呼吸で人生をストレッチする!」
「夢をかなえる心のストレッチ」
ブログ「青い空と碧い海」
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のメルマガとブログはこちらです。
メルマガ「小顔なんて簡単!」
ブログ「ふぐじろうのブリージングストレッチ日記」
「なるほどね~。
でもさ、転んだりぶつかったりで、身体や運が良くなったり悪くなったりするんじゃ、余りにも頼りなくない?
全部、運任せってことじゃん」
「確かに。偶然には再現性がない。
成島竜も、世界大会が終わった後は、再び膝が悪化し、引退した。
だから一見バラバラに見える多くの現象の底に横たわる、規則性を見つけることが必要。
そうすれば、いつでも、どこでも、誰がやっても、同じような結果を得ることが出来るようになる。
再現性を持つのが技というもの」
「整体のテクニックも技だもんね。
仙腸関節のズレを整える体操は無いの?」
「いっぱいある。ブリージングストレッチの基本にも存在している。
仰向けに寝て、両膝を左側の床に倒す。
続いて右膝だけ戻して立てる。左足だけが胡坐の状態になる。
その姿勢で左膝で床を押す。

左の仙腸関節が締まる。
もっと強烈に締めたい人は、右足を天井に上げる。武道の蹴りを強化する稽古にもなる」

「大抵の人は、この体操は、左右でやりやすさが違うもんね。
やりにくい側の仙腸関節が歪んでるってこと。だからやりにくい側を多めにやると修正になっちゃう。
左右の仙腸関節が五分に締まった状態になったら、両手で足首をつかんで、仙骨を上下にバウンドさせると、更に仙骨が締まっちゃう。

仙腸関節のいい状態もキープされるから、不順な生理も整いやすくなるよね。
ブリッジの後は、開脚も開きやすくなるし。
仙腸関節と股関節がシーソー関係にある証拠だよね=仙腸関節が締まると、股関節が開く」
「初心者には、ブリッジのバウンドは『お尻を持ち上げて引き締めましょう』と誘導するが、本当は仙骨を骨盤に深く入れている。
仙骨が入ると、骨盤が締まる。
すると強いパワーが出せる。集中力も高まって、本来その人が持つ能力が発揮される。
古久澤先生の師・伊藤昇先生は、『胴体が余り動かない人でも、仙骨さえ締められれば、ある程度のレベルまで行ける』と著書『スーパーボディを読む』に書かれている。
そのくらい仙骨は重要だということ。
クジャクのポーズをやっている、写真の男性は60代。


仙骨を締めることで、床から身体を浮かせた状態をキープしている」
「筋力に頼るんじゃなくて、骨を使えれば、加齢と共に動きの質は衰えるどころか、高まって行くってことだね。
伊藤先生の、『身体のピークは60代』と言う主張の一つの証明になるよね。
ヨガの弓のポーズとかも、仙骨を引き締めるのが目的の一つだもんね。
上手な人がやると、仙骨の部分だけポコッと引っ込むって言うし。
基本の『雑巾がけ』も、仙骨が締まって入った状態を創ってくれちゃう。

あとは屈伸?」
「屈伸は沈んだときは仙骨が緩み、上がった時に仙骨が締まる。いわば仙骨に振幅性をつけてくれる。
その振幅性をバツグンにつけてくれるのが正座屈伸。
やり方は簡単。正座から膝立ちになる。この時に仙骨が締まる。

正座に戻るときは股関節で体重をキャッチ。股関節の捉えがよくなる。

自分の足の長さの左右差が分かっている人は、短い側の膝を前にして行うと修正法になる」


「ずっと内腿はくっつけたまま屈伸を反復。
ただ正座屈伸って、膝が床とこすれて痛くならない?」
「膝を保護するためには、布団の上で屈伸するといい。
チンパンも先日試してみたら、500回やっても膝は無事だった。
この屈伸はシンプルだし、結構きついけど、股関節の捉えと、仙骨を締める力を同時に高めてくれる。
屈伸をやった後、正座してパートナーに骨盤を押されても、捉えがいいとビクともしない」

「押す力が、全部股関節に吸収されちゃうからだよね。そのまま股関節を通して地球にアースされちゃう」
「もちろん、体格差がありすぎると、床との摩擦で後ろにスライドして行く場合はある。
それでも正座が崩れなければOK。
押されて後ろに転ぶのは失格。全身で力んで踏ん張って、押し返していると言うことだから。
股関節で捉えた上体から、正座屈伸の要領で膝立ちになると、骨盤を押さえたパートナーを吹っ飛ばすことも可能。

仙骨を締める力は、それだけ強い。
武道やスポーツでドン!と前に出る動きにも活用できる。
新体道(しんたいどう)と言う武道には、反り跳びで何百回・何千回も前にジャンプして行く稽古がある。
やはり仙骨の振幅性を養う。
ただし、反り跳びは膝や足腰に負担がかかるので、年輩の人には相当きつい。
新体道は、単なる勝ち負けではなく、のびのびと心身を開放することも目指す武道。
反り跳びも『新しい世界へ飛び込んで行ける自分を創る』精神的な効果があると言う」
「確かに仙骨が締まると、チャレンジする力もアップするもんね。
人間が本氣になっている時って、必ず仙骨が締まっているから。
仰向けのブリッジで、仙骨を締めながら膝を斜め下に倒していくと、自然に背骨がしなって起き上がれちゃうもんね。



二次元=寝た姿勢から、三次元=起きあがった姿勢への進化と言っていいかも?」
「だからこの起き上がりは、自分の新しい道を切り開いていく力を高めてくれるということ。
ピンチをひっくり返す力も与えてくれる。
仙骨締めの起き上がりは、中級以上の体操だけど、ブリージングの生徒には、出来る人が何人か出てきた」
「『もう身体には出来るだけの条件が備わっているのに、頭でブレーキをかけている人も居る』って、古久澤先生はおっしゃっているよね」
「『こんな難しい動きが、出来るわけない』と本音で想っていると、あと少しの所で、脳がストップをかけてしまう。
仕事や願望実現でも、いい線まで行きながら、結果を出せない人も同じパターンが多い」
「その壁を突破するのは、やっぱりイメージ力?」
「正解。しかし、イメージングについては長くなるのでまた別の機会に触れよう。
また、仙骨を締めっぱなしだと、いつもテンションあがりっぱなしになるので、緩める力も大切=振幅性。
ブリージングメソッドには、仙骨関係のもっと高度で繊細な技がたくさんある。
今回紹介したのは、ほんの一部」
「興味のある人は、ぜひセミナーや一年講座などに参加してくださいね~」
(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。

写真はボクのしっぽのアップです。
人間にはしっぽがありませんが、整体の流派によっては、
『人間の仙骨は、しっぽが進化して、体内に収まったモノだ』
と主張するところもあるようです。
実際に一流のアスリートには、『仙骨からしっぽが伸びている』とイメージして動く人も居るそうです。
すごくバランスよく動けるらしい。
人間の仙骨はやはり特殊な骨で、多くの秘密が隠されているようです。
みなさんも仙骨に意識を向けてください。
身体が変わるキッカケになるかも知れませんよ~。
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